全頭血統考察

競馬血統まとめ【マイルチャンピオンシップ(GⅠ)2023】の順位予想

スポンサーリンク

YRA
血統調査員のYRAです。
「血統表は競走馬の設計図!」ということで。

今週は秋のマイル王決定戦マイルチャンピオンシップです。

スポンサーリンク

マイルチャンピオンシップ昨年の結果

まずは昨年の結果から振り返りましょう!

1着セリフォス 父ダイワメジャー 6番人気
2着ダノンザキッド 父ジャスタウェイ 8番人気
3着ソダシ 父クロフネ 2番人気

京都競馬場の改修工事に伴い2020~2022年は阪神競馬場での開催でした。

勝ったセリフォスはダイワメジャー産駒で、3歳が最も旬な血統です。
仕上がりが早く、2歳時にはここと同舞台となるデイリー杯2歳Sを勝っていました。

2着ダノンザキッドはこの舞台に相性の良いハーツクライ系のジャスタウェイ産駒で、前年(2021年)3歳時に3着としていました。
成長力がある血統で、昨年よりも1つ着順をあげたという結果です。

3着には阪神芝1600mで無類の強さを誇るソダシが実力通り、馬券圏内を確保しました。

この阪神芝1600mという条件は王道種牡馬が素直に好走することが多いので、血統というよりも実績上位の馬が素直に走るという視点で良いという結果でした。

今年は再び京都での開催となるので、傾向は京都で開催された直近5年の結果から見ていきたいと思います。

2023.11.14 post

マイルチャンピオンシップ血統傾向

□実績馬を狙え!

2022年(良)阪神
1、 ダイワメジャー
2、 ジャスタウェイ
3、 クロフネ

2021年(良)阪神
1、 ディープインパクト
2、 Kingman
3、 ジャスタウェイ

2020年(良)阪神
1、 ディープインパクト
2、 ステイゴールド
3、 ダイワメジャー

2019年(良)京都
1、ステイゴールド
2、ディープインパクト
3、ハービンジャー

2018年(良)京都
1、ロードカナロア
2、ハービンジャー
3、ディープインパクト

2017年(稍)京都
1、ハービンジャー
2、キングカメハメハ
3、ディープインパクト

2016年(良)京都
1、ディープインパクト
2、フジキセキ
3、ネオユニヴァース

2015年(良)京都
1、スクリーンヒーロー
2、ディープインパクト
3、フジキセキ

昨年の結果で述べた通りマイルチャンピオンシップは実績馬が好走しやすいレースです。
今年は京都開催に戻りますが、その傾向は変わらないのか京都開催だった2019年以前の5年を見てみましょう。
※( )内はここに出てくる前の主なG1実績

2019年1着インディチャンプ(安田記念勝ち馬)
2019年2着ダノンプレミアム(朝日杯FS勝ち馬)
2019年3着ペルシアンナイト(マイルCS勝ち馬)

2018年1着ステルヴィオ(朝日杯FS2着)
2018年2着ペルシアンナイト(マイルCS勝ち馬)
2018年3着アルアイン(皐月賞馬)

2017年1着ペルシアンナイト(皐月賞2着)
2017年2着エアスピネル(朝日杯FS2着)
2017年3着サングレーザー(なし)

2016年1着ミッキーアイル(NHKマイルC勝ち馬)
2016年2着イスラボニータ(皐月賞馬)
2016年3着ネオリアリズム(なし)

2015年1着モーリス(安田記念勝ち馬)
2015年2着フィエロ(マイルCS2着)
2015年3着イスラボニータ(皐月賞馬)

このように馬券になった全15頭のうち13頭が、ここに出てくる以前に「G1での勝利または2着の実績があった馬」であることがわかります。

今年の出走馬で該当するのは、
シュネルマイスター(NHKマイルC勝ち馬)
セリフォス(マイルCS勝ち馬)
ダノンザキッド(ホープフルS勝ち馬)
ダノンスコーピオン(NHKマイルC勝ち馬)
ナミュール(秋華賞2着)
マテンロウオリオン(NHKマイルC2着)
この6頭となります。

この中で種牡馬成績別に並べてみると、
・ロードカナロア(ダノンスコーピオン)
勝率10%連対率22%複勝率30%
・ダイワメジャー(セリフォス、マテンロウオリオン)
勝率10%連対率17%複勝率26%
・ハービンジャー(ナミュール)
勝率4%連対率15%複勝率27%
・ジャスタウェイ(ダノンザキッド)
勝率6%連対率8%複勝率13%

ロードカナロアが抜けているのですが、
該当するダノンスコーピオンはちょっと近走の大敗続きからは最上位評価はし辛いです。

となればサンプル数が少ないKingman産駒のシュネルマイスターを最上位評価したくなります。

続いて。
過去にGⅠ 2着までの実績がなく馬券になった2頭(2017年3着サングレーザー、2016年3着ネオリアリズム)は前走G2戦を勝っていたという共通点がありました。

今年の出走馬の中では、
エルトンバローズ(G2・毎日王冠)が該当しています。

尚、この馬の父はディープブリランテですが、ディープブリランテ産駒は京都芝1600m全体の成績として勝率13%連対率21%複勝率36%と、その父ディープインパクトの相性の良さを引き継いでいる種牡馬です。

以上、血統傾向についてでした。

↑【大好評】より深いデータについてはこちら

マイルチャンピオンシップ全頭血統解説

それではここからは全頭解説です!

イルーシヴパンサー 牡

父ハーツクライ 岩田望


父ハーツクライ×母父キングカメハメハはオープン馬アロハリリーやプロレタリアトなど活躍馬を出している配合。
またStorm Bird持ち牝馬との配合は、ウインバリアシオン(青葉賞(G2)、日経賞(G2))やゴーフォザサミット(青葉賞(G2))と同じ。

このような配合なので皐月賞時には「東京2400mに適した配合(もっというと青葉賞?)なので青葉賞からダービーに向かうのが良いのでは」と考察していました。
しかし皐月賞で負けた後は、マイル~1800mに距離短縮して3連勝。
再びオープンクラスの舞台に戻ってきました。
ここから見えるのは母イルーシヴキャットが短距離馬だったということです。
1200mの母×2400mの父の配合ということを考えれば、1800mあたりが距離適性になるというのは頷けるわけです。

前走富士Sで4着というのは血統的にも東京マイルが向いているというのもあると思います。
そういう観点で見れば京都マイルも合うと思うのですが、それでも尚、G1では力が足りないと思います。

エエヤン 牡

父シルバーステート Mデムーロ


母シルクヴィーナスは不出走。
繁殖としてデュランダルとの間に京成杯(G3)勝ち馬のプレイアンドリアルを輩出している。
4代母にはアイルランド1000ギニー(8F)勝ち馬のKatiesがいる牝系。

父シルバーステートはディープインパクト直仔で種牡馬として今年が2世代目。
種牡馬として初年度から阪神JF3着、桜花賞2着のウォーターナビレラを出した。
現役時は5戦4勝。現役時はケガとの戦いで、4連勝した1600万下のあと再び屈腱炎を発症し、引退。
重賞勝ちは無かったものの主戦を務めた福永騎手がデビュー前から「ダービーを狙える」と絶賛していた程の能力の持ち主だった。

血統的にはRobertoを内包するのでディープインパクトにタフさをプラスしたようなイメージ。
配合ではスピードの血を取り入れることが有効。
本馬の母系にあるDanzigはこの傾向に合致。
Danzigはシルバーステートの父ディープインパクトとの配合でミッキーアイルなど上級マイラーを輩出した。
本馬もその配合の教科書通り、中距離の新馬戦・未勝利戦で連敗した後、マイルに切り替えると3連勝を飾った。
ニュージーランドTでは先団の後ろから進め、直線では力強く抜け出しました。

NHKマイルC時には「今週末の天気予報も微妙そうなので稍重くらいになれば再び追い風となるでしょう。配合もベストですし、4連勝でG1を勝ってもええやん。」と考察しましたが、道中かかってしまい9着まで。

前走古馬との初対戦となった毎日王冠では8着。
もうひと成長必要ですね。
まだ3歳ですからここも良い経験を積んで欲しいです。

エルトンバローズ 牡

父ディープブリランテ 西村淳


母ショウナンカラットは現役時、未勝利。
母母ニュースバリューはオープン馬で札幌スプリント(G3・芝1200m)2着。

父ディープブリランテはディープインパクト産駒のダービー馬。
母父ブライアンズタイムとの配合は、中山金杯(G3)、ラジオNIKKEI賞(G3)を勝ったセダブリランテスと同じ。
セダブリランテスは1800mを基軸にそれ以上の距離を走っていったが、本馬は未勝利戦2200mで負けているので1800mを基軸にそれ以下の距離が合っていそう。

ということでここは守備範囲。
5連勝で一気の戴冠があるか楽しみです。

ジャスティンカフェ 牡

父エピファネイア 坂井


母カジノブギは現役時1勝。
母母ギミーシェルターはアネモネS(OP)2着。
3代母オークツリーは福島記念(G3)2着。
そして4代母にはオークス馬シャダイアイバーに続くという牝系。

父エピファネイアは母父キングカメハメハとサンデーサイレンスを持つ牝馬との交配でデアリングタクトを始め、活躍馬を多く輩出している。
本馬の母父ワークフォースはそのキングカメハメハと同じKingmambo系でNureyevと3/4同血のSadler’s Wellsを内包。
そして母母にはサンデーサイレンスを持つので先述したエピファネイアの成功配合と似通う点が多い。

3歳でのデビューとなったが、そこから着実に一歩ずつキャリアを積んで4歳時の昨年、オープン入りを果たした。

エプソムC時には「元々先週登録していた安田記念に出走が叶うようだと馬券に入れようと思っていた馬。Sadler’s Wellsを持つことも、父系がRoberto系であることもこのレースにおいてはプラスとなるのでここでも推しておきます。」と考察し4着。

前走毎日王冠時には「道悪はあまり得意としないタイプでしょう。それでも馬券まであと一歩まで迫ったわけですから、良い馬場で走れるなら前走よりも上昇の目はあります。」と考察した通り、2着。

東京の良馬場がベストで、ここも昨年の阪神から京都へ変わることはプラスです(馬場が重たくなるようなら割引で)。
あとは、G1での上位陣との力差がどうか。

シュネルマイスター 牡

父Kingman ルメール


母セリエンホルデはドイツ産馬でドイツオークス(ドイツG1・芝2200m)勝ち馬。
父Kingmanはイギリス、フランスの最高峰マイルG1を制した「キングオブマイラー」。日本種牡馬の王ディープインパクトが持つSir Ivorを持っており、さらにその相似の血であるDroneも持っていることから日本的な瞬発力が備わっている。
外国の種牡馬ゆえに日本でのサンプル数は少ないが、同世代でチューリップ賞(G2)を制したエリザベスタワーを輩出するなど成功確率は高い。
このエリザベスタワーとは母父にSadler’s Wellsを持つことが共通しており、またKrisの血をクロスしてスピードを増強していることも共通点。
これが現時点で日本におけるKingmanの成功配合と言える。

3歳時にNHKマイルで世代トップのマイル王に輝くと古馬になってもマイルチャンピオンシップ、安田記念でも2着。
今年の安田記念も3着ということで常にあと一歩という状況が続いています。
前走休み明けの毎日王冠(3着)を叩いてここにやってきたので臨戦過程は万全でしょう。
今年こそ獲りたいところです。
去年の阪神から京都に変わるのはプラスに働くとみています。

セリフォス 牡

父ダイワメジャー 川田


本馬は血統注目馬としてデビュー前に下記の通り考察しました↓
『母シーフロントはフランス産馬で現役時、23戦5勝(オープン馬)。
現役引退後、日本に輸入されて繁殖牝馬となった。
繁殖として本馬が2頭目。1つ上の半兄(父オルフェーヴル)は勝ち上がっている。
血統背景は父Le Havre(~Blushing Groom~Red God~ナスルーラ系)と母父Freedom Cry(~Nureyev~ノーザンダンサー系)の組み合わせ。

父ダイワメジャーに母系Blushing Groomを持つ馬の組み合わせは、コパノリチャード(高松宮記念)、メジャーエンブレム(阪神JF、NHKマイルC)といったG1馬を始め、活躍馬を多く輩出している相性の良い配合。

半兄は中距離で走っているが、本馬は父がダイワメジャーに変わったことで距離適性は短めに出ていそう。
2~3歳戦に強い父の産駒だけに本馬も初戦から期待したい。』
↑期待通りデビュー戦を勝つと初重賞挑戦となった新潟2歳S、デイリー杯2歳Sを連勝。
2歳時には朝日杯FSでもドウデュースに最後かわされたといは言え、2着と力を示しました。
その後、クラシックではなくNHKマイルに進み4着。

そこから戦歴を重ね、昨年のマイルCSでは「秋始動戦となる前走の富士Sを完勝でさらに力をつけた印象です。3歳が旬のダイワメジャーですからここでタイトルを獲りたいです。」と考察し見事戴冠を果たしました。
やはりダイワメジャーは3歳でこそですね。

前走安田記念では「明け4歳なのでまだまだ高いパフォーマンスは見せてくれるでしょうが、勝ちまであるかどうか。」と考察し、2着。
そこから5ヶ月経ってのここなので、血統的にはそろそろ下降気味になってくるのですがどうでしょうか。
わしとしては本命に据えるというよりは、抑えくらいにしておく方が良いと思っています。

セルバーグ 牡

父エピファネイア 松山


3代母にアメリカG1・テストS(ダ7F)勝ち馬のFara's Teamがいる牝系。
父エピファネイアは主流血統サンデーサイレンスが4代前にある為、幅広い配合が可能となる。
本馬も母父がサンデーサイレンス系との配合となるが、その直仔フジキセキ系との交配はあまり功を奏していない。
エピファネイア産駒の中京1600mの成績は良く、前々走中京記念では逃げの手に出て優勝した。

控える競馬をしたこともありますが、逃げ脚質があっているのでしょう。
ここを逃げ残るのは至難の技ですが、ほっぽっとかれるようならワンチャンあっても。

ソウルラッシュ 牡

父ルーラーシップ モレイラ


父ルーラーシップはキンカメ系の中長距離担当。
母父マンハッタンカフェは有馬記念、天皇賞・春、菊花賞を勝ったサンデー系の長距離担当。
そんな父と母父の組み合わせなので長距離砲に出そうなものだが、本馬は3歳暮れにマイル路線に切り替えると4連勝。一気に重賞タイトル(G2・マイラーズC)を手にした。
この父×母父の組み合わせは他にグリーンチャンネルC(L・ダート1400m)を勝ったアディラートも同じ。
アディラートとは母母父にStorm Catを持つという共通点もある。
ということでStorm Catのスピード適性が高く出ておりマイルでその能力を発揮していることになっていると思われる。

昨秋のマイラーズCでは「昨年このレースを勝っていますが、今年は京都に開催が戻ります。血統的には阪神よりは落ちそうですが、地力が高いですよね。」と考察し3着と頑張りました。
なので京都は良いのだろうと思いますがどうにも昨年の4着がいっぱいいっぱいの気がするので、全部ハマっても掲示板かなと思っています。
あとはモレイラマジックにどこまで期待するかといったことになりそうです。

ソーヴァリアント 牡

父オルフェーヴル 池添


母ソーマジックは現役時、20戦4勝(OP)
主な勝ち鞍はアネモネS(OP・中山芝1600m)で、桜花賞では3着に入着。
繁殖としてディープインパクトとの間に愛知杯(G3)勝ち馬で、秋華賞でも2着に入着したマジックキャッスルを輩出している。
母母スーアはアイルランド産馬でイタリア1000ギニー(G2)勝ち馬。

父オルフェーヴル×母父シンボリクリスエスの組み合わせは、アルゼンチン共和国杯(G2)、青葉賞(G2)を勝ちジャパンカップ2着のオーソリティや、オープン馬エスポワール、エングレーバーと同じ。

チャレンジカップ(G3・芝2000m)を連覇しているように距離はこのあたりがベスト。
オルフェーヴル産駒ですから気性の問題は常につきまとうが、ちゃんと走れれば札幌記念で3着となったように上位に食込む力はあります。
ある程度のマイル適性も前走で示しましたので、あとは当日の入れ込みがどうかです。

ダノンザキッド 牡

父ジャスタウェイ 北村友


母エピックラヴはフランス中距離重賞の勝ち馬。
母母母アルカンドはビヴァリーヒルズH(アメリカG1・芝9F)の勝ち馬。
ここまでのジャスタウェイ産駒の活躍馬は母系にNijinskyを持つという共通点がある。
また本馬の母父デインヒル系というのはこのレースに出走しているグラティアスも持っており、ハーツクライの完成を早めるのに一役買う。
ジャスタウェイはハーツクライ直仔なのでこの相性の良さは父から仔の代になっても引き継いでいると見るべきで、本馬も早期始動で2歳G1(ホープフルS)を制覇した。

しかし中山はこのホープフルSを勝って以降、皐月賞、中山記念(昨年、今年)で大敗続き。
以前川田騎手が言っていたように中山になると走る気を無くします。
それを踏まえ、大阪杯の時には「今回は巻き返せるでしょう。」と考察した通り3着と頑張りました。

前走宝塚記念では「初の2200mがどうかというところですが、阪神は合っています。」と考察しましたが、13着大敗。
思ったよりも距離の壁がありました。
なので距離短縮となるここは良いでしょう。但し、京都変わりはマイナスです。

ダノンスコーピオン 牡

父ロードカナロア 団野


母レキシールーはカナダの生産馬で、アメリカ重賞(芝8F~9F)勝ち馬で、3代母Favored Oneはアメリカのダート重賞(8.5F)勝ち馬という牝系。

ロードカナロアの大物輩出配合は名牝Specialの血を増強すること。
本馬は母方にSadler’s Wellsを持つので皐月賞馬のサートゥルナーリアと同じ。
2歳マイル王決定戦の朝日杯FS時には「サンデーサイレンスを持たない点は不安点だが、前走1800mからの距離短縮はロードカナロア産駒だけにプラスに働きそう。」と考察し3着と頑張った。
その後3歳の始動戦をクラシックの登竜門、共同通信杯に選択しましたが、7着と負けると矛先をマイル路線に絞りました。
春のNHKマイルCの時には「そうして前走のアーリントンCをきっちり勝ちきってここへ駒を進めたわけですから、やはりこの路線が合っているということでしょう。」と考察した通り優勝、見事戴冠を果たしました。

昨秋のマイルCSでは「休み明けとなった前走富士Sでは古馬との初対戦となりましたが、きっちりと3着。これが叩きだったことを思えば、本番のここでの期待はかなり大きいです。」と考察しましたが、結果は11着。

そこから考えれば京都変わりのここはプラス評価なのですが、どうにも近走負けすぎな点が気になります。

ナミュール 牝

父ハービンジャー ムーア


母サンブルエミューズはフェアリーS(G3)3着で、3代母キョウエイマーチは桜花賞馬という牝系。
半兄(父ノヴェリスト)にはオープン馬ヴェスターヴァルト。
ハービンジャーに母系フレンチデピュティ系の組み合わせは、ノームコア(香港C、ヴィクトリアマイル)やサトノアリシア(コスモス賞(OP・芝1800m))などが出ている。

昨秋のエリザベス女王杯はスタートが悪く、道中不利を受けた中で5着と頑張った。
昨年クラシック戦線でも主役級の活躍をして戴冠まであと一歩です。
わしのハービンジャー産駒の総括として「母方の適性を活かす」としているのですが、本馬は母父がダイワメジャー。
それ故にマイルが合っていますし、東京新聞杯でも2着で、前走富士Sでは優勝しました。

あとはG1メンバー相手にどこまで力差が迫っているかでしょう。
血統的には東京で高いパフォーマンスを出しているので京都でパフォーマンスが下がるということはないと思います。

バスラットレオン 牡

父キズナ 鮫島駿


父キズナはディープインパクト×Storm Catの黄金配合馬で後継種牡馬。
種牡馬としてはディープインパクトにパワーを加えたイメージでダートも走れるし、芝の道悪も大丈夫。
本馬の母父New Approachは重厚なSadler’s Wells系でありながら、その半兄に高松宮記念(G1・芝1200m)を勝ったシンコウフォレストがいるという日本に合った牝系。
このシンコウフォレストの父はGreen Desert~Danzigというスプリント~マイルのスピード血脈で、本馬は母母父がこのライン。
キズナ配合は母方にスピード血脈を持ってくることが成功の近道で、本馬もその傾向に合致。

若い時はマイル適性が強かったが、歳を重ねより短い距離にシフトしてきた。
これは先述した血統を思えば納得。
ということで今となってはこの距離は長いです。

ビーアストニッシド 牡

父アメリカンペイトリオット 和田竜


父アメリカンペイトリオットはアメリカ産馬。現役時の主な勝ち鞍はメーカーズ46マイルステークス(アメリカGI・芝8F)
現役引退後、日本に輸入され種牡馬となった。この世代が初年度産駒となる。
父系の血統背景はWar Front~Danzig~ノーザンダンサー系のライン。
日本でもおなじみのDanzig系の血統となるのでマイルが基軸となりそうだが、アメリカンペイトリオット自身が中距離での重賞勝ち鞍もあるのでそこを伝えるようだと産駒も2000mくらいまでは走れそう。
現時点での中央で勝ち上がっている全8頭のうち6頭がサンデーサイレンスを持つ牝馬との交配。
やはりアメリカンペイトリオット自身がサンデーサイレンスを持たないので、ここは素直にサンデーサイレンスを取り入れることが良さそうだ。

スプリングS時には「本馬は母父ネオユニヴァース(サンデーサイレンス)にキングカメハメハという日本の王道血統との配合なので、マイルで勝ち上がったが、京都2S(G3・芝2000m)で2着、共同通信杯(G3・芝1800m)で3着だったように距離への適応もある。ここも堅実に走りそうです。」と考察し見事1着。
皐月賞時には「スプリングSでは少し渋った馬場も味方したとは思いますが、ここまで大崩れしていないだけに軽視しすぎるのは良くないと思います。」と考察しましたが11着。

そこからこの馬の適性は2000mまでと結論づけて、ダービーと菊花賞は大敗しました(10着、13着)
今年になりようやく距離短縮してくれて本来の力を出せるようになりましたが、それでもいきなりのマイルG1ではさすがに厳しいでしょう。

マテンロウオリオン 牡

父ダイワメジャー 横山典


母母レディパステルはオークス馬。
そのレディパステルの父トニービンの血と母父Blushing Groomの血は共にダイワメジャーと相性の良い血。
トニービンとは、高松宮記念(G1・芝1200m)を勝ったコパノリチャードやフィリーズレビュー(G2・芝1400m)を勝ったソルヴェイグ、さらにオープン馬ダイワリベラルなど輩出している。
Blushing Groomとは、阪神ジュベナイルフィリーズとNHKマイルCを勝ったメジャーエンブレム、ダービー卿チャレンジトロフィー(G3・芝1600m)を勝ったロジチャリスなどを輩出している。

このようにダイワメジャーの成功配合パターンで、3歳の昨年、シンザン記念優勝やNHKマイルC2着と活躍しました。

春の安田記念では「種牡馬を考えた時に、G1で好勝負するのであれば、そろそろ上位に絡んでこないとこの先厳しくなりそうです。」と考察しましたが、11着でした。

前走富士Sでは5着と巻き返してきましたが、G1となると評価は安田記念時に考察した通りです。

レッドモンレーヴ 牡

父ロードカナロア 横山和


母ラストグルーヴは現役時、1戦1勝。
勝ち鞍は芝1800m
繁殖として青葉賞2着のランフォザローゼス(父キングカメハメハ)やフラワーC2着のレッドルレーヴ(父ロードカナロア)を出している。
母母エアグルーヴは天皇賞秋とオークス勝ち馬。
3代母にはオークス馬ダイナカールがいるという牝系。

父ロードカナロア×母父ディープインパクトは京王杯2歳S(G2)勝ち馬のファンタジストや北九州記念(G3)勝ち馬のボンボヤージと同じ。
これらと同じように本馬も短距離の京王杯SC(G2)を制覇。

安田記念時には「配合面からは1F長い印象は強いですが、東京は合っています。」と考察し6着。
前走も同じ東京マイルの富士Sで2着と頑張りました。
東京がめちゃくちゃ得意ですね。

そこから考えれば京都もこなせると思いますが、東京が合い過ぎている印象なので舞台変わりという点で少し割引評価と言うことになってしまいます。

以上、全16頭の血統解説でした。

血統表:(C)netkeiba.com

良かったら参考にしてみて下さい。

2023.11.17 post

マイルチャンピオンシップ2023結果

1着ナミュール 父ハービンジャー
2着ソウルラッシュ 父ルーラーシップ
3着ジャスティンカフェ 父エピファネイア

このレースについてはここに出てくるまでのG1実績が大切だという見解を述べていました。
勝ったナミュールは秋華賞2着ということでこの傾向に合致。
父ハービンジャー産駒の勝利はペルシアンナイト以来ということになりました。

2着ソウルラッシュはこのG1実績に該当せず、バッサリ切ってしまっていました。
前走京成杯AH(G3)を勝っていたのですが、G1実績以外で好走する馬は「前走G2勝ち馬」としていたことが軽視の理由です。
これについては来年「前走重賞勝ち馬」に修正したいと思います。

3着ジャスティンカフェについては一番悩ましい結果に・・・。
「G1実績」も「前走重賞勝ち」にも当てはまりません。
2走前に重賞勝ちがあるので、強いていうなら「近2走以内に重賞勝ちであること」でしょうか。

結果としてはこういう広げ方をしていれば、2、3着馬を最初から軽視することはなかったとなりますが、条件を広げることになるので来年の出走馬が出そろった時にじっくり考えなければなりませんね。
中心視していたエルトンバローズは4着と悔しい結果に。
ただまだ3歳ですから、古馬とも十分渡り合える力を示してくれたので来年も期待します。

最後に、血統としては今年は1~3着馬全て非サンデーサイレンス産駒での決着となりました。
これは過去10年(阪神開催も含)で初めての結果です。

この京都1600mという舞台でも、血統の時代の変化を感じさせられる結果となりました。

以上、回顧でした。
また来年!

2023.11.20 post

【お知らせ】

・わしの種牡馬辞典好評発売中です!
よろしくお願いします(^_^)v

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

YRA@血統調査員

少しでも役立つ競馬情報を。2011年~2016年までの5年間、北海道を拠点に毎日馬のお勉強に明け暮れていました。 2023年から再び拠点を北海道に移し、血統調査員として執筆活動に邁進中! 夢は雑誌で連載すること!

-全頭血統考察
-