血統調査員のYRAです。
「血統表は競走馬の設計図!」
ということで。
2021年の競馬が終わりましたので全G1について振り返ってみましょう。
春芝G1の結果はこちら↓
高松宮記念(1200m)・ダノンスマッシュ(父ロードカナロア)
大阪杯(2000m)・レイパパレ(父ディープインパクト)
桜花賞(1600m)・ソダシ(父クロフネ)
皐月賞(2000m)・エフフォーリア(父エピファネイア)
天皇賞春(3200m)・ワールドエース(父ディープインパクト)
NHKマイルC(1600m)・シュネルマイスター(父Kingman)
ヴィクトリアマイル(1600m)・グランアレグリア(父ディープインパクト)
オークス(2400m)・ユーバーレーベン(父ゴールドシップ)
日本ダービー(2400m)・シャフリヤール(父ディープインパクト)
安田記念(1600m)・ダノンキングリー(父ディープインパクト)
宝塚記念(2200m)・クロノジェネシス(父バゴ)
全11レースのうちの5レースで優勝したのはディープインパクト産駒だったことがわかります。
秋芝G1の結果はこちら↓
スプリンターズS(1200m)・ピクシーナイト(父モーリス)
秋華賞(2000m)・アカイトリノムスメ(父ディープインパクト)
菊花賞(3000m)・タイトルホルダー(父ドゥラメンテ)
天皇賞秋(2000m)・エフフォーリア(父エピファネイア)
エリザベス女王杯(2200m)・アカイイト(父キズナ(ディープインパクト直仔))
マイルチャンピオンシップ(1600m)・グランアレグリア(父ディープインパクト)
ジャパンカップ(2400m)・コントレイル(父ディープインパクト)
阪神JF(1600m)・サークルオブライフ(父エピファネイア)
朝日杯FS(1600m)・ドウドュース(父ハーツクライ)
有馬記念(2500m)・エフフォーリア(父エピファネイア)
ホープフルS(2000m)・キラーアビリティ(父ディープインパクト)
全11レースのうちの4レースで優勝したのはディープインパクト産駒で、直仔のキズナもG1を制覇しています。
つまり2021年のG1全22レースのうち9レースがディープインパクト産駒だったということになります。(41%)
目次
種牡馬の王 ディープインパクトの凄さ
種牡馬ディープインパクトは2012年から2021年現在まで種牡馬ランクを10年連続で首位に立っている、まさに種牡馬王と呼ぶに相応しい存在です。
残念ながら2019年逝去してしまい、昨夏(2021年夏)行われたセレクトセール(※種牡馬のセリ市)ではそのラストクロップ(最後の産駒たち)が上場されたことでも話題を集めました。
「もう死んでしまったのに今更ディープインパクト?」と思われた方もいるかもしれません。
しかし「まだまだディープインパクトだ!」と敢えてわしは言いたいのです。
ディープは死んでもその産駒はまだまだ多数。
先ほど述べたセレクトセールで上場された「ディープのラストクロップ」は2022年にデビュー予定です。
ということは、これからあと5~6年はディープ産駒が競馬場にいるということになります。
死後10年程経ってもその影響力が残る、いや血統表の中に入ってその能力を伝えていくという意味ではその影響力は未来永劫かもしれません。
それも「競馬の血統の魅力」と言えるのではないでしょうか。
ましてディープインパクトはここまで10年に渡りトップを走り続けている稀代の名種牡馬。
今、この時代に競馬をしている我々が生きている限りその名を見なくなる日が来ることは恐らく無いでしょう。
ということで、種牡馬ディープインパクトこそがこれから血統を覚える方にとっての入り口として相応しい存在ではないか?
そう思い本稿を書くに至りました。
2021年のG1の40%以上がディープインパクト産駒による優勝だったと最初に述べました。
ディープインパクトが種牡馬として王たる所以は、まさにこの「最高峰G1の舞台でこれだけの優勝馬を送り出していること」に他なりません。
最高峰G1の舞台でこれだけ強い産駒がいるということは
「主流な舞台に滅法強い血」
ということになります。
主流な舞台について
主要な舞台とは主流コースと主流距離のことを言います。
以下、簡単にまとめます。
・主流なコースについて
競馬における主流なコースとは、
東京競馬場、阪神競馬場である。
東京競馬場は7レース、阪神競馬場10レースも芝のG1が開催されている(※2021年の開催予定)。
例年東京競馬場が最多だが、阪神競馬場の方が多くなっているのは現在京都競馬場が改修工事を行っている為(もちろん京都競馬場でもディープインパクトは強い)。
芝のG1レースは全部で22レースだからこの2場で17レースということになる。
主流なコースと呼んで異論は無いだろう。
・主流の距離について
主流の距離は1600m、2000m、2400mである。
1600mは7レース、2000mは5レース、2400mは3レースがそれぞれ実施されている。
主流な舞台で開催されるのはもちろんG1レースだけはありません。
重賞から下級条件まで主流な舞台でのレース開催はとにかく数が多いです。
それらで強いのがディープインパクト産駒なのですから、主流の舞台でのレース検討はまずディープインパクトから入れば良いというわけです。
ディープインパクトが得意な舞台
以上より、ディープインパクトが得意な舞台は次の通りとなります。
・東京競馬場、阪神競馬場
この2場での勝率は実に14%という高確率を誇る。
※但し、ディープインパクトは全場で勝率10%を超える唯一の種牡馬であることは覚えておきたい。
・芝1600m、2000m、2400mを始めとした主流距離
この距離での勝率は13%以上とこちらも高確率。
※ちなみに1400m以上の距離では勝率が10%を超えてきます。
・良馬場
馬場状態は良馬場で最もパフォーマンスを発揮しやすく、その勝率は14%弱。複勝率では約36%にもなる。
キングカメハメハが得意な舞台
それではこれらに当てはまらないケース(=ディープインパクトが比較的苦手な舞台)についても少しだけ触れておきましょう。
これについてはディープインパクトに次ぐ一大系統キングカメハメハ系から検討すれば良いと考えます。
キングカメハメハは2010・11年に種牡馬ランク1位だった種牡馬です。
つまりディープインパクトが現れる前の種牡馬王でした。
そしてディープインパクトが王に君臨してからの10年間(現在)ではそのうちの7年間で2位の座を保有し続けました。
稀代の名種牡馬ディープインパクトに1位を奪われてもなお、このキングカメハメハが2位に居座り続けることができた理由・・・それはディープインパクトがそこまで得意ではない条件で狙いを定めたかのように結果を出すことができたことが一因です。
例えば、先述したようにディープインパクトは良馬場でその能力を最も高いレベルで引き出すことができる種牡馬ですが、キングカメハメハは不良馬場での成績も高いのです。
その傾向は後継種牡馬達にも見受けられます。
また、ディープインパクトの守備範囲外である短距離の舞台でも現在後継種牡馬となっているロードカナロアを輩出しています。
さらにディープインパクトがダートでG1馬を輩出していないのに対して、キングカメハメハはホッコータルマエ、チュウワウィザード、ベルシャザールなどなどG1馬を始めとした多くの活躍馬を送り出しています。
つまり、ディープインパクトが能力を発揮しづらい時にはキングカメハメハ系が台頭しやすいという図式が成り立つのです。
逆に、キングカメハメハ系は万能だが、主流な舞台ではディープインパクトに分があるという言い方が正しいかもしれません。
今回紹介したように2大種牡馬と言ってもディープインパクトとキングカメハメハ系ではその産駒の特徴は異なります。
その特徴が異なるということこそが「血統による傾向」なのです。
じゃあディープインパクトとキングカメハメハ系のどちらも網羅できていない競馬場ってないの?
ディープインパクトの後継キズナは?
牝馬3冠デアリングタクトの父エピファネイアは?
・・・このような疑問が芽生えてきているとしたら、あなたはもう既に血統の世界に足を踏み入れています。
是非これからもわしと一緒に勉強して行きましょう。
各種牡馬についての特徴はこちらからお読み下さい。
https://yra-keiba-academy.com/category/stallion-consideration/
↑今後も随時解説記事を増やしていく予定です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
それでは、また!
2021.9.14 post YRA
2022.1.20 更新