血統調査員のYRAです。
「血統表は競走馬の設計図!」ということで。
今回は血統講座第3弾です!
第1弾、第2弾と読んでくれてありがとうございます。
それでは第3弾、中だるみしないようにいきましょうね!
『血統の「と」』スタートです。
前回、血統表の中にある『クロス』と『血量』について説明しました。
まだ読んでいない方はこちら⇒ 血統表の「っ」/
ではなぜ特定の馬の血を「クロス」させて「血量」を増やすのでしょう?
それは、もちろん強い馬を作りたいからです。
サラブレッドの世界では特定の血を「クロス」させて「血量」を増やすことでその能力を増強させることができると考えられています。
例えばスピードに優れた馬をクロスさせることでスピード力が増強された馬ができる可能性が高まるのです。
しかし忘れてはならないのが、クロスさせることで必ずしもこのような優れた能力を増強させるわけではありません。
例えば「スピードに秀でた、少し脚元が弱い馬」がいるとしましょう。
この馬をクロスさせた配合を行うとき、もちろん「スピード力が増強された馬」ができることを期待しますよね。
期待通りそのような馬が誕生する可能性がある一方で、「脚元が弱くケガしがちな馬」が誕生する可能性もあるわけです。
これが「優性遺伝」と「劣性遺伝」です。
クロス配合にはこの「劣性遺伝のリスク」を常に抱えているということは頭に入れておいた方が良いでしょう。
ではここでまた新しい血統表を見て下さい。
これは今年のNHKマイルCを勝ったラウダシオンの血統表です。
この血統表を見て気づきましたでしょうか?
そう、赤文字が全くない!
すなわち「クロス」が無いのです。
この「クロス」を持たない配合馬のことを『アウトブリード』と言います。
インブリードのように特定の血の強調がありませんが、その分、劣性遺伝のリスクも低い為、比較的体質の強い馬が誕生しやすいことが特徴として挙げられます。
それではここでもう1頭、血統表をみて下さい。
はい。
日本近代競馬の結晶と謳われたディープインパクトです。
気づきましたか?
そうなんです!
「赤文字がない・・・!」
ディープインパクトはアウトブリードだったんですね!
―え?体質が弱くなるリスクも低くて最強馬ディープインパクトが生まれるなら「アウトブリード」で良いやん。インブリードいらんやんね?
ごもっとも!
リスクなく強い馬作れるならそれが一番ですもんね!
ではなぜ世の中にはアウトブリードの配合馬で溢れないのか?
不思議ですよね。
それは
今年の活躍馬を見れば答えがわかります。
それではここで問題。
《2020年の前半に行われた全12のG1レースのうちアウトブリード配合の馬は何頭いたでしょうか?》
・・・・・・・
・・・・・・?
・・・・・・・
・・・・・・・
正解は、
《ラウダシオンただ一頭》でした!
1頭のみです。
だからアウトブリードの例としてラウダシオンしか挙げることができなかったのです。
(というかラウダシオンがいてくれて良かったですよ。)
12のG1レースのうちインブリード11勝、アウトブリード1勝。
圧倒的なインブリード馬の強さがわかります。
こうなるとリスクを負いながらインブリードの馬を作る気持ちがわかりますよね。
ということで、今回は【クロスにおける優性遺伝と劣性遺伝について】と【アウトブリード】について説明でした!
もし、ついて来れなかったところがあったらTwitterなどで質問下さいね。
それでは今回の『血統の「と」』はここまで!
気をつけ、礼!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
また次回お会いしましょう~(@^^)/~~~