
アイビスサマーダッシュ全頭調教解説
🐴スコーピオン
前走が釜山S (小倉D1000m/3勝クラス) 8着。昨年10月に新潟千直(飛翼特別/2勝クラス)で54.4秒というまあまあな好タイムで勝っており、芝でもダートでも短距離なら走ることのできる馬。前走だけで軽視するのは少し怖い。調教は問題ないが、もう少し鋭さは欲しかった。終わり1Fでもう少し伸びて、11秒台が出ていればなお良かった。
🐴ニシノコニャック
千直を得意にしている菊沢Jが鞍上。前走は3勝クラスの駿風Sで5着と破れており、格上挑戦となる。ハンデ戦なら54kgくらいで出てこれただろうが、別定戦のここでは強い馬と同じく57kgと、これは不利。菊沢Jの腕をもってしてもどうか。調教では時計が出るタイプではなく、問題はない。
🐴カフジテトラゴン
駿風S 2着からの中11週。稍重の中での55.3秒をどう判断するか。1000mへの実績はかなり持っているが、格上挑戦になる。今回は中11週だが5本の調教。いつも厩舎でしっかりと調教するタイプではなく、恐らくは外厩先で乗り込んでいる調教パターンか。タイムはしっかり出ており、このくらいで良いかと思う。悪くはない。
🐴シロン
北九州記念では16着と大敗し、中3週。順調に、淡々とこなされているように思う。国分Jが騎乗し、1週前の7月23日にはCWで追い切っている。最終もCWだが、そこまで強く行う必要もないからか、馬なりで4Fのもの。小倉から栗東に戻り、また新潟へと輸送があるため、牝馬の6歳でもあり、あまり馬に負担を掛けられないというのもあるだろう。韋駄天Sでは4着だが、テイエムスパーダに0.7秒も負けている。まるきりダメではないだろうが、よほど何かに恵まれないと厳しいか。調教でも強く、変わった攻めをしているわけではなく、現状維持という印象。一変はどうか。
🐴クムシラコ
2022年に同レースで優勝したビリーバーの半弟。青函S 12着は前詰まりとかなり不利があったもので、ノーカウントでも良いか。韋駄天S 3着と千直への対応は出来ることに加え、鞍上は何と言ってもこのコースが得意な杉原J。かなり攻めを強化されているので、あとは相手次第、枠次第。高速馬場への対応だが、稲妻Sでは54.4秒という早いタイムで走っており、枠順によっては食い込みもあると思っている。
🐴ピューロマジック
最終追い切りでも安田翔伍調教師がしっかりと調教をつけている。1週前の調教では栗東坂路で50.3-23.9-12.0秒。終わりが12秒台と11秒を切っていないのは少し気になったが、栗東坂路でのこの馬のベストタイムを出してきた。前走、ドバイのアルクオーツS(G1)では、両隣の馬に挟まれて出遅れてしまい、ほぼ最後方からになっていつもの競馬が出来なかった。それでも5着に追い込んでおり、安田調教師は脚質が広がった、と思ったよう。今回は斜め前に1頭馬を置いて我慢をさせ、抜き去る調教をしている。恐らく出して行けば一番早いだろうが、この調教内容を見ると、今回はせっかくならば控える競馬をルメールにオーダーするつもりではないか。面白い、いい調教だと思う。去年は油断をするとぶっ飛んでしまうくらいで、ほぼ全ての調教で安田調教師が騎乗していた。こんな風に併せ馬での調教が出来るようになったのは、この馬が気性的に成長した証。こんな調教ができたのかと進歩に驚いている。アイビスSDを取りに来たというよりは、スプリンターズS本気で取りに来ている過程の中での調教に思える。
🐴ショウナンハクラク
安達太良S 4着からの中2週。調教を見る感じでは、可もなく不可もなくといったところ。中2週でもあり、坂路2本となっている。常に坂路で調教を積んでいる馬なので、何ら問題はないだろう。ラスト1Fは今週が11.9秒、1週前が11.8秒。ラスト2Fも24秒台でまとめており、中2週でも調子はいいだろう。あとは相手関係、枠順。このくらいの実力の馬は、枠順でいいところが当たらないと厳しいと見ている。
🐴コラソンビート
安達太良S 3着からの中2週。1分32秒台の決着と、2歳G1とは思えない程の高速決着だった阪神JFでは3着、京王杯2歳S 1着とスピードに長けている馬。桜花賞の際は1600mは距離が長いと言われ凡走、その後1400mなどを使うも結果が出なかったが、前走の安達太良Sで初の1200mを試したところ、久々に3着と馬券内に入った。メンバーレベルは今回よりは低く、時計のかかった良馬場と今回と適性は違うかもしれないが、1200mという距離に対しては逃げて対応ができた。津村JがアイビスSDとの連続騎乗と決まっていたならば、どれぐらいで逃げることができるか測っていたかもしれない。調教は馬なりだが、52.2秒の全体時計に対してかなりの迫力があり、ラスト400mは馬なりで23.9-11.5秒。美浦Wなので栗東CWよりは時計が出るが、全体53.6秒-ラスト1F 11.9秒だったベストタイムを今回更新した。非常に良い状態ではないかと思う。調教通り走れば、ここでも上位に来るのではと見ている。
🐴ニシノトキメキ
見たらわかる通り、左側ギリギリを走っている。乗り役は右側に体重をかけており、手綱も右に引かないといけないくらい外ラチに刺さっている。こういう調教を見ると、まだまだなのかなと思う。
🐴ウイングレイテスト
函館SS 11着からの中8着。カピリナに0.7秒負けてしまった。併せた馬を軽く抜き去っており、気持ちよく走っていて良い感じだなと思うが、6F 38.7-12.1秒とタイムは遅い。併せの相手があまりにも走らなさすぎてよく見えるが、美浦Wではいつも馬なりで11秒台を出している馬なだけに、物足りないタイムに思える。
【馬体重についての考察】
前走の函館SSでは496kg(-20kg)で11着と、専門誌などマスコミは体重減が敗因としていたが、全く細くはないように見えた。去年のアイビスSDは504kgで走っており、その時と比べても8kgしか変わらない。
2023年のスワンS 1着の時は500kg、非常に早いタイム決着だった京成杯AH 2着の時は496kgだったが、この時は6歳ともう成長は終わっている時期。むしろ最近は太め残りが取れなくなっていたのではないかと見ている。函館SSは適正体重に近くなったのではないか。20kgが一気に減ったのは馬にとってはしんどかったかもしれないが、陣営はあえて意図的に馬体を減らして前走を迎えたのではないか。馬体回復が大前提という記事もあるが、あくまで陣営のコメントではないことに注意。一番動いていた時期は500kg前後だったため、馬体重には引っ張られなくても良いのではと思っている。
前走については、
①適性体重になっても走れなくなってしまった(もうピークアウトしてしまった)ため、函館SSでは凡走してしまった。
②とりあえず体重を減らして立ち上げるための函館SS出走で、負けは織り込み済みで去年に2着となったアイビスSDを目指してのもの。
と2つの考え方があると思っている。
松岡Jは1週前に調教に乗っており、過去に好走していた時の動きとなんら遜色のない走りをしており、手応えも十分。最終追い切りなどで5Fが多い馬だが、今回はタイムは遅いものの最終追い切りで6F追いをしており、1週前も6Fで追い切っている。今回は中6週だが、馬体回復に専念しているのであれば、7本も時計を出さないだろうと思う。
🐴エランティス
加藤祥太Jという鞍上も含めて人気はないだろうが、杉山厩舎というのがクセもの。勝つためには最大限のことをやってくる。福島テレビ賞9着だが、ダート1150mでのもの。今回、初芝となる。芝スタートのダートを走ることが多いが、スタートではハナを切ったり、悪くても3-4番手を追走できるなどスピード値は高い。ピッチ走法で、一完歩は狭いが回転で補っている。ただ、先行できたとしても今回はどうか。枠順は重要になってくる馬だと思う。変な良い枠順を引いた時は注意。
🐴ファロロジー
逃げ馬に活躍馬が多い中舘厩舎。安達太良S 9着からの中2週だが、変わったところはあまりなさそう。馬体は良さそうだが、牝馬なので少し華奢に見えるのは仕方ないかもしれない。ただやはり正面から見た時に、牝馬でも胸前の筋肉がしっかりしていないと、1000m戦に必要なスピードはなかなか出てこない。今の新潟は芝が軽い分、こういう細い馬でも台頭してくる場合はあるが、重賞となると厳しい戦いになるのではないか。牝6なので、ここからの馬体の成長は厳しいだろう。
🐴テイエムスパーダ
1000mを得意としており、前走は韋駄天S 1着。稍重の中での55.5秒だが、2着に0.5秒も差をつける楽勝だった。軽斤量でのものだが早い時計での持ち時計もあるので、前走が稍重での勝ちだからと言って軽視してはいけない。血統からはダートも芝も走れる。中5週だが、非常に迫力満点な良い調教を行なったと思う。
🐴キタノブレイド
外の馬は持ったまま、内の馬もムチを抜いて気合いを入れたままだが、一頭だけ喘いでいる。追っても伸びを欠いている状態。障害からの馬が穴を空けたりはしているが、今回1000mともなると電撃戦で、息を吐く暇もない。スタミナはあるだろうが、両者ともが2歳未勝利というレベルの併せ馬を相手にこの短い距離で遅れているのは、中21週というのもあるし厳しい戦いになるのではないか。
🐴ブーケファロス
安達太良S組。その前は韋駄天Sにて7着。中2週なので最終追い切りはそんな強めにはやらないところだが、6F CWとまあまあな調教をしてきた。いつも坂路よりもCW追いをする馬だが、悪くはないと思う。いい枠を引いて大混戦になれば、菅原Jなので怖い。
🐴カルロヴェローチェ
安達太良S 1着からの中2週。過去ではNHKマイル 5着(稍重)、ファルコンS 2着(重)と、ともに馬場が重く時計がかかっている時に好走している。安達太良S 1着からの参戦だが、安達太良Sも時計がかかっていた。セン馬になって3走目で、去勢の効果もあったかもしれないが、時計はかかった方がいい馬なのだろう。馬場に非常に左右される馬。調教では馬場の内側を走っているために52.7-12.3秒とタイムもそこそこ出ているが、ベストタイムは馬なりでの49秒フラット。調教での動きは軽快だし、非常に良いものだと思っている。
🐴デュガ
前走がモルガナイトS (福島1200m/OP) 8着。中13週と3ヶ月半空いているが、時計を出したのは3本のみ。横からの映像がないので、太め感はわからない。休養先で調教を乗っているのかもしれないが、調教本数がまずは物足りない。
🐴モズメイメイ
北九州記念15着からの中3週。やたら後ろ脚が開いているように見える。坂路最後の馬がキツくなる所で脚が広がってしまっており、本調子ではないのではと見ている。過去の調教でもしんどくなると後ろ脚が開く癖があり、そのために平坦コースがいいのだろう。音無厩舎に所属して好調だった時は、中間でしっかり併せ馬をしていたが、前川厩舎に来てからは全く併せ馬をしなくなった。併せ馬をするとあまり良い調教を見せないのでやっていないのかもしれないが、なぜそのパターンに戻さないのかは疑問。近走の成績は悪いものの千直の実績があるので人気するかと思って詳しく見たが、フォームを見ると調教からは拾えないと思う。
調教ベスト3
ウイングレイテスト
コラソンビート
ピューロマジック
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10時30分より是非遊びにきて下さい。
それでは良い週末を(^^)/~~~
2024.8.1 post by もなもな