血統調査員のYRAです。
「血統表は競走馬の設計図!」ということで。
今週は菊花賞のトライアルレース、神戸新聞杯が行われます。
血統傾向については先日こちらで述べました。
それでは、神戸新聞杯の全頭血統考察スタートです!
菊花賞への3枚の切符を手にするのはどの馬でしょうか。
【神戸新聞杯(GⅡ)】
1枠1番セファーラジエル
父キズナ 鮫島駿
母はアメリカ産馬で、日本で供用された(1勝)。
父キズナは母方に重厚なヨーロッパ血脈を抱えるので配合としてはスピードの血を増強するのが良い。
そういう意味ではアメリカ血統との配合は好感。
勝ち上がりまでに5戦を要したが、常に掲示板には載ってくる堅実馬で、昇級しても好走している。
そんな中で前走白百合S(L)を勝ってこの舞台へ。
今回は春の実績馬たちがいるのでもちろん相手は一気の強化となるが、この馬もきちんと上がってきた馬なので軽視は禁物。
ただキズナ産駒の基本守備範囲は2000mまでの馬が多い(※ディープボンドという例外もいるけど。)ので距離延長がプラスに働くとは考えづらい。
2枠2番ワンダフルタウン
父ルーラーシップ 和田竜
本馬はデビュー前に血統注目馬として下記の通り取り上げました。
『母シーオブラブは、現役時18戦1勝(地方)。
繁殖として本馬が初産駒。
血統背景は父ディープインパクト×母父Acatenangoの組み合わせ。
この組み合わせは菊花賞(G1)勝ち馬のワールドプレミアムが代表格で、3歳以上の組み合わせの数が15頭と少ないながらも12頭が勝ち上がっている好打率な配合。
この好配合の母に非サンデー系の父を迎えた形となる。
父ルーラーシップは非サンデーサイレンス系としてサンデーサイレンス系牝馬と交配できることが強み。
実際、産駒の活躍馬のほとんどが母父サンデーサイレンス系である。
母父ディープインパクトとの組み合わせでは、ここまで産駒唯一のG1馬キセキ(菊花賞)がいる。
つまり本馬はキセキと3/4同血配合で、母がワールドプレミアムと3/4同血配合。
こうやって紐解くと生産者の思惑が見えてきますね。
菊花賞はPOG期間外のレースですが、思惑通り菊の舞台に辿りつけるか注目しておきたいです。』
↑嘘じゃないですよ、ほんまに書いてました(笑)
菊花賞どころかダービーにも出たんですから、わしの考察以上の結果でしたね。
とにかく無事に菊の舞台に出られそうなので何よりです。
血統的にここも合いそうですし、わしはここまできてくれたこの馬をここでも菊でも本命にせんといけんよね~?!
(まだ決めてないですよ笑)
3枠3番キングストンボーイ
父ドゥラメンテ ルメール
母ダイワパッションはフィリーズレビュー(G2)勝ち馬。
半兄(父オルフェーヴル)に皐月賞馬エポカドーロがいる。
父ドゥラメンテはこの世代が初年度産駒。
本馬が持つフォーティナイナーとは相性が良さそう。
青葉賞の疲れが抜けず、休養を促す夏となった。
ダービーに出なかったことをプラスにできたのか、調教・パドックで見るのがかなり楽しみな一頭。
4枠4番モンテディオ
父ジャスタウェイ 池添
母ディオジーニアはアメリカ産馬でイタリアオークス(G1)勝ち馬。
父ジャスタウェイはハーツクライの後継種牡馬ということもあり、産駒は全体的に成長力が遅め。
牡馬の場合は長い距離で活躍する産駒が多い傾向通り、本馬も長めの距離中心で使われてきている。
前走札幌2600mで1勝クラスをクリアしたばかりだが、ここでも好走できるようだと距離が延びる本番はさらに楽しみとなるが果たして?
5枠5番ステラヴェローチェ
父バゴ 吉田隼
父バゴ×母系にRobertoの血を持つ組み合わせは、フラワーC(G3・中山芝1800m)を勝ったオウケンサクラと同じなので中山適性はこの馬も高そう。
2歳時に重賞を勝ち、暮れのG1(朝日杯FS)でも2着に好走したのは母系にあるスピード血脈によるもの。
父バゴなのでサウジアラビアRC(G3・1着)の時のように道悪でも歓迎。
成長力もありそうなので、この先どのような成長を遂げていくか非常に楽しみな血統表。
皐月賞の時に「東京よりも合うのはここ!」と言ったように3着に好走。
ダービー時には「切れ味自慢が集まるここでは後ろからになりすぎると少し辛いので、渋った馬場で前目からのレース運びをしたいところ。」と述べたのですが、普通に後方から運んで普通に抜群の伸びを見せてくれました。
ここまで予測と違うレース運びで結果を出しているのは父方の血統イメージで語るのではなく、母父のディープインパクトが「俺やで!」と主張してきている気がするのはわしだけでしょうか?
6枠6番シゲルソウサイ
父エピファネイア 岩田康
父エピファネイアはサンデーサイレンスを持ちながらもその血が4代前ということで、サンデー系牝馬との交配が可能でそれを武器に目下種牡馬ランクを駆け上がっている次代の種牡馬王候補。
母はイギリス産馬で、母父Hallingはイギリスのエクリプス賞などG1を5勝。
ということでヨーロッパ系統ということになる。
エピファネイアの母シーザリオの母系はヨーロッパ系の血が入っているのでそちらの血を増強するような配合と見ることができる。
ということでちょっと重たすぎるかなといった印象は否めず、成長力という点でももっと歳を重ねていった方が良くなるだろう。
7枠7番レッドジェネシス
父ディープインパクト 藤岡康
本馬はデビュー前に血統注目馬として下記の通り取り上げました。
『母リュズキナはアイルランド馬で不出走だが、母母Luckyがアイルランド重賞の勝ち馬である。
繁殖としてデビュー済み産駒はまだなし(本馬の全兄がいるがデビューしていない)。
血統背景は父Storm Cat(~ノーザンダンサー系)と母父Sadler’s Wells(ノーザンダンサー系)の組み合わせ。
父産駒において早期完成の近道はノーザンダンサーのクロスを持つ母との組み合わせなので本馬はまずこの条件を満たしている。
父ディープインパクト×母父Storm Catの組み合わせはスーパーニックス配合。
G1馬だけで、キズナ(日本ダービー)、エイシンヒカリ(イスパーン賞(仏G1)、香港C(香港G1))、リアルスティール(ドバイターフ(ドバイG1))、サトノアラジン(安田記念)、ラキシス(エリザベス女王杯)、アユサン(桜花賞)、Study of Man(ジョッキークラブ賞(仏G1))がいる。
また、母方にSadler’s Wellsを持つ馬は、シンハライト(オークス)、ディーマジェスティ(皐月賞)等活躍馬多数でこちらも好相性の血。
このようにディープインパクト配合における王道パターンなので、是非チェックしておきたい1頭。』
ディープインパクトの黄金配合通りきちんとダービーの舞台まで辿り着いたので、配合的にも期待している部分が大きかったのですが、当時の鞍上(横山典さん)がまさかのポツン発動。
一生に一度の晴れ舞台でもポツン。
前走のことは忘れてここからもう1回頑張ろう!
7枠8番イクスプロージョン
父オルフェーヴル 松山
父オルフェーヴル×母父シンボリクリスエスの組み合わせは、オーソリティ(青葉賞(G2)、アルゼンチン共和国杯(G2))、オープン馬エスポワール、エングレーバーなどを出している相性の良い配合。
成長力の高いオルフェーヴル産駒なので勝ち上がるまでに6戦を要したがその後は昇級しても堅実に走っている。
ということでもちろん春よりも秋の方が良いということになるが、それよりも3歳よりも4歳・5歳という方がイメージしやすく、「ここ!」というよりはこの先がどんどん楽しみになってくる馬だろう。
8枠9番テイエムタツマキ
父キズナ 富田
父キズナは母方に重厚なヨーロッパ血脈を抱えるので配合としてはスピードの血を増強するのが良い。
そういう意味では母父クロフネのスピードを取り入れるのはプラスで、オープン馬クリスティやショウナンハレルヤ(フローラS(G2)4着)といった活躍馬を輩出している。
ということで配合的には見所があるのですが、ここまで完全に1勝クラスの壁に阻まれています。
さらに相手レベルが上がるここでは厳しいと言わざるを得ないです。
8枠10番シャフリヤール
父ディープインパクト 福永
母ドバイマジェスティはBCフィリー&メアスプリント(アメリカG1・ダ7F)の勝ち馬。
全兄にアルアイン(皐月賞、大阪杯)とオープン馬ダノンマジェスティがいる。
父ディープインパクトにスプリンターの母の配合は早期始動の為のセオリー。
ダービー前の毎日杯で速い時計への対応力が可能であることを充分に示しました。
ダービー時には、「速い時計を出した次走というのは得てして反動から凡走しがちですが、皐月賞をパスして来たことは好感です。
この中間で成長した姿が見られるようだと皐月賞上位組への逆転もあり得るでしょう。」
と述べていたのですが、見事世代の頂点に立ちました。
秋の始動戦とは言え、ディープ産駒ですし、ダービー馬。
ひと夏越してパドックに出てくる姿を見るのが今から待ち遠しいです。
以上、出走馬全10頭の血統考察でした。
2021.9.24 post
神戸新聞杯
わし◎ワンダフルタウン
みっちゃん(仮)◎シャフリヤール
2021.9.26 post