全頭血統考察

春の実績馬VS夏の上がり馬【ローズS(GⅡ)2021】全頭血統考察

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血統調査員のYRAです。
「血統表は競走馬の設計図!」ということで。

今週は日曜日と月曜日に3歳最後の1冠に向けたトライアルレースが行われます。

日曜日に行われるローズステークスの血統傾向については先日こちらで述べました。

それでは、ローズステークスの全頭血統考察スタートです!
秋華賞への3枚の切符を手にするのは誰だ?!

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ローズステークス(GⅡ)

1枠1番イリマ
父キズナ 幸

父キズナは母系の重厚なヨーロッパ血脈を抱えるのでスピードを加えるような配合が○。
だからアメリカ血統であるMr. Prospector系との配合が合う。
母父ウォーエンブレムはケンタッキーダービーなどを制したThe・アメリカ血統。
ウォーエンブレムは期待されながら輸入されたにも関わらず、自身が納得した相手としか種付けを行わなかった為、産駒数は多くない。
そんな中でもブラックエンブレム(秋華賞)を始めとした重賞馬を多く輩出しており、日本適性がある血といえる。
母父としてキズナとの交配では本馬の他にも複数勝ちを収めており、まずまず合う配合と言えるのではないかと思っている。
勝ち上がるまでに6戦を要したが、昇級初戦の前走であっさりと1勝クラスをクリア。
相手はさらに強化されるが、未勝利→1勝クラスの勝ちっぷりが確変中っぽいのでここも注意はしておいた方が良さそう。

1枠2番エンスージアズム
父ディープインパクト 岩田望

父×母父Storm Catの組み合わせはG1馬多数のスーパー黄金配合。
このうち牝馬クラシックを制したのはアユサン(桜花賞)とラヴズオンリーユー(オークス)。
この2頭とは母母父がRaise a Native系(大系統ネイティヴダンサー系)で母母母がハイペリオン血脈であることまで似通う。
このディープインパクトとハイペリオンという組み合わせは長く良い脚を使うことが求められるクラシック戦線ではうってつけというわけ。
事実、本馬のここまでの勝ち鞍2つは東京と阪神というクラシック本番のコースで、桜花賞でも8着と頑張った。

オークス時には「距離的にベストは1800ぽいので桜花賞から距離延長となるここでも充分戦えるでしょう。」と述べたのですが、中位から進めた本番では最後に力尽き最下位。
クラシック戦線の激戦の疲れもあったのでしょう、休養を挟んでどこまで立て直してこれているか注目ですね。血統的には合いそうです。

2枠3番アイコンテーラー
父ドゥラメンテ 亀田

父ドゥラメンテはこの世代が種牡馬として初年度。
ここまで見る限り基本的には産駒は牡馬優勢。
牝馬で本馬と同じように2勝を挙げているアヴェラーレとはMr. Prospectorのクロスを持っている点が共通項。
未勝利、1勝クラスを連勝して挑んだ前走ラジオNIKKEI賞(G3・福島芝1800m)では8着と重賞の壁に跳ね返された。
改めて牝馬同士の戦いでどこまで通用するか。

2枠4番スパークル
父エピファネイア 藤岡祐

母母アイランドファッションはアメリカのダートG1を3勝した名牝。
父エピファネイア×母父ネオユニヴァースは同期でフェアリーS(G3・中山芝1600m)で3着に入着したベッラーノヴァと同じ。
エピファネイアはここまでキングカメハメハ、ディープインパクト、ハーツクライといった錚々たる血と抜群な相性を見せ種牡馬ランキングを駆け上がっているが、ネオユニヴァースとも相性が良いのか注目してみたい。

春はNHKマイルCのステップレースであるニュージーランドTに出走し、9着と敗れ休養に入りました。
ひと夏越して前走自己条件である2勝クラスをきっちりクリアしてからここへやってきた点は大変好感が持てます。ただ乗り替りはマイナス。

3枠5番クールキャット
父スクリーンヒーロー ルメール

母メジロトンキニーズはダイヤモンドS(G3・芝3400m)2着のステイヤー。
半姉トリオンフ(父タートルボウル)は中山金杯と小倉記念(共にG3・芝2000m)勝ち馬。
父スクリーンヒーローは活躍馬が牡馬に偏るRoberto系で、牝馬での重賞馬は本馬とウインマリリン(フローラS(G2)、日経賞(G2))のみ。
ウインマリリンはフローラSを勝った後、オークスを2着。
本馬もフローラSを勝ってオークスへ進みました。

そのオークス時には「母父にダンスインザダーク(菊花賞)も心強く、距離延長はもちろん歓迎。このような血統背景なので昨年のウインマリリンの再現があっても不思議はありません。」と述べたのですが、結果は14着。
血統的には距離短縮となるここではあまり食指が動かないのですが、鞍上強化でトライアルなら。

3枠6番メイショウオニユリ
父ジャスタウェイ 池添

3代母オトメゴコロは現役時、4勝(条件馬)。
父がジャスタウェイで母父がステイゴールド系のドリームジャーニーの組み合わせという字面を見れば、なかなか早期完成はイメージし辛く、本馬も完成まで8戦を要した。
それも今夏の未勝利戦での勝利だったので、なんとかギリギリ期間内に間に合ったということだ。その後昇級して初戦であっさり1勝クラスをクリアしているので成長期に入っていることは間違いなさそう。
血統背景を見れば今後もっと成長しそうなので見守っていきたい存在ではある。
今回は現状の力で世代上位のメンバー相手にどこまでやれるか。

4枠7番ストゥーティ
父モーリス 吉田隼

母リラヴァティはマーメイドS(G3)勝ち馬で、半妹にはオークス勝ち馬のシンハライトがいる。
つまり本馬はシンハライトの姪。
さらに母母シンハリーズはアメリカG1(芝9F)を勝っており、牝系の底力は疑う余地がない。
父モーリスはSadler’s Wellsのクロスが有効な一手。
そこへサンデーサイレンスのクロスも合わせ持つので同産駒のシゲルピンクルビー(G2・フィリーズレビュー)よりは根幹距離での適性が高そう。
桜花賞時に「他のサンデー系種牡馬に比べると切れる脚は劣るのでそこをカバーできる展開になることを期待したいところ。」と述べたのですが、やはり先行から最後はキツくなり7着だった(それでもG1の舞台で頑張りましたよね)。

その後2戦かけて1勝クラスをクリア。夏に力をつけて再び世代上位に戦いを挑みます。
春にあった力差がどうなっているか楽しみですね。

4枠8番オータムヒロイン
父スクリーンヒーロー 古川吉

3代母Fall AspenはメイトロンS(アメリカG1・ダート7F)勝ち馬。
父スクリーンヒーローはRoberto系種牡馬。Roberto系は活躍馬が牡馬に偏るという特徴がある。
事実このスクリーンヒーロー産駒も代表産駒モーリスを始め活躍馬のほとんどが牡馬。
このモーリスのようにSadler’s Wellsの血との配合では大物を出す可能性がある。
本馬は牝馬ながらこのSadler’s Wellsを持つので楽しみはある。
先週の紫苑ステークスの方がコース適性はあったと思う。

5枠9番タガノパッション 
父キングカメハメハ 岩田康

牝系を辿って行き着くロイヤルサッシュは子孫からサッカーボーイ、ステイゴールド、ショウナンパンドラなどを輩出した名牝系。
父キングカメハメハ×母父シンボリクリスエスと言えばダービー馬レイデオロ。
となれば牝馬クラシックを走れる血統背景。

オークス時に「距離は守備範囲に見えますが、前走から相手がいきなり一線級となるここで主役を張れる程のポテンシャルは現時点では流石にないように見えます。」と述べましたが、結果は後方からのびて4着と頑張りました。
スタートがあまりよくない馬なので今回もおそらく後ろからになりそうですが、最後に追い込んできそうですよね。

5枠10番エイシンヒテン 
父エイシンヒカリ 松若

父エイシンヒカリはキズナと同じディープインパクト×Storm Catの黄金配合。
キズナの配合と同じように母方からスピードの血を重ねることが成功パターンで、本馬の母父エイシンワシントンはCBC賞(G3・芝1200m)勝ち馬でスプリンターズS(G1)2着なのでこのパターンに合致。
また、キズナがそうであるようにサンデーのクロスはプラスで、本馬も3×3。
本馬は父同様、世代を代表する逃げ馬で、逃げて粘るのがこの馬のスタイル。
本レースもこの馬がペースを作るだろう。

6枠11番プリュムドール
父ゴールドシップ 武豊

母シュヴァリエは現役時、芝1600mで3勝(条件馬)。
3代母タニノクリスタルはアネモネS(OP・芝1400m)勝ち馬。
父ゴールドシップ産駒は基本的に芝長距離が主戦場。
ゴールドシップの父ステイゴールドが母父フレンチデピュティとの組み合わせでレインボーライン(天皇賞・春)を出しているので、本馬も完成イメージはそこ。
勝ち上がりまでに8戦を要したように年を追うごとに完成していくイメージ。
2歳よりも3歳、3歳よりも4歳というのがステイゴールド系の成長曲線ということは覚えておきましょう。

6枠12番アンドヴァラナウト
父キングカメハメハ 福永

母グルヴェイグはマーメイドS(G3・阪神芝2000m)勝ち馬。
牝系はエアグルーヴ~ダイナカールと言った超良血系。
父ディープインパクト×母父キングカメハメハの組み合わせはブラヴァス(新潟記念(G3))や同レースに出走しているアールドヴィーヴルと同じで血統的には中距離適性が高そう。
ここまで堅実に走っており、連対を外したことはなく前走1勝クラスを突破。
ここでも一生懸命走るだろう。あとは一気強化となる相手にどこまで通用するか。

7枠13番コーディアル
父エピファネイア 鮫島駿

母ボンジュールココロは現役時4勝(条件馬)
父エピファネイアはサンデーのクロスを持つことが活躍馬輩出のまず大前提。
その上で、Danzigの血は昨年の紫苑S(G3)3着のシーズンズギフトと同じ、本馬と合致。
デビューから3戦目で勝ち上がると昇級初戦でも2着。
前走の昇級2戦目で1勝クラスを突破してここへやってきた。
出遅れ癖があるので相手一気の強化となるここは、まずはクラス慣れか。

7枠14番アールドヴィーヴル
松山 父キングカメハメハ

母イサベルは現役時芝の中距離で4勝。
父ディープインパクト×母父キングカメハメハの組み合わせはブラヴァス(新潟記念(G3))と同じで血統的には中距離適性が高そう。
オークス時に「同世代対決という観点では距離は延びれば延びるほど良さそうで、桜花賞もしっかり走って(5着)、ここへやって来た。
不安な点はデビュー以来減り続けている体重で、今回も輸送があるだけにどうなるか。
なんとかプラス体重で出てきて欲しい一頭です。」と述べていたのですが、馬体重は422kgと桜花賞時と同じでギリギリといった感じでした。

そこから休みに入ってのここなので最終追い切りの調教も然る事ながら、当日のパドックでどれだけ大きくなれているか注目ですね。

7枠15番オパールムーン 
父ヴィクトワールピサ 横山典

半兄(父ブラックタイド)に小倉大賞典(G3・芝1800m)3着のサイモンラムセスがいる。
父ヴィクトワールピサは活躍馬が牝馬に偏るフィリーサイアー。これは母父にあるMachiavellianの影響が色濃く出ているもの。
父ヴィクトワールピサにノーザンテーストの血を持ってくる配合はレッドアネモス(クイーンS(G3・芝1800m))と同じでまずまず。
デビュー2戦目のファンタジーS(G3・芝1400m)でメイケイエールの2着となった後は、阪神JF6着、フィリーズレビュー9着で休養へ。
母系にスタミナ血脈が入っている血統なので距離延長はプラス。

8枠16番タガノディアーナ
父リオンディーズ 和田竜

母母アルーリングアウトは小倉3歳S(G3・芝1200m)勝ち馬。
先に種牡馬入りしている半兄エピファネイアがサンデーのクロスで成功馬を輩出しているが、それは弟のリオンディーズでもそのまま当てはまる。
本馬は母父ディープインパクトなのでサンデーのクロスが4×3になる。
オープンクラスではまだ馬券圏内に入着したことはないが、自己条件では堅実に走っており、1歩ずつ力をつけている印象。

8枠17番オヌール
父ディープインパクト 川田

母アヴニールセルタンはフランス産馬でG1を2勝した。
現役引退後、日本に輸入され繁殖牝馬となり、本馬の全姉デゼル(阪神牝馬S(G2))と本馬を産んだが、2019年8歳の若さで死去。
初年度から重賞馬を輩出していただけにその早すぎる死が惜しまれる。
母父Le HavreはBlushing Groomの系統。
このBlushing Groomの血は父と相性が良く、3冠牝馬ジェンティルドンナなど爆発力に富む。
デビューから1勝クラスを連勝して挑んだフローラS(G2・芝2000m)では8着。
その後、成長を促す為に放牧に出し、今回はその復帰戦。
調教、パドック要チェック楽しみな一頭。

8枠18番レアシャンパーニュ
父エピファネイア 浜中

4代母Action Francaiseはフランスのマイル重賞勝ち馬。
父エピファネイア×母父ゼンノロブロイは昨年の紫苑S(G3)3着のシーズンズギフトと同じ。
父エピファネイアの系統であるRobertoはタフな血なのでその血のクロスは得てして鈍重になりやすい。
ということでタフさが要求されるような展開・状況になった方が良いでしょう。

以上、出走馬全18頭の血統考察でした。

2021.9.17 post

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ローズステークス
わし◎アールドヴィーヴル
みっちゃん(仮)◎タガノパッション

2021.9.19 post

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YRA@血統調査員

少しでも役立つ競馬情報を。2011年~2016年までの5年間、北海道を拠点に毎日馬のお勉強に明け暮れていました。 2023年から再び拠点を北海道に移し、血統調査員として執筆活動に邁進中! 夢は雑誌で連載すること!

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