血統調査員のYRAです。
「血統表は競走馬の設計図!」ということで。
今週は皐月賞のステップレース
スプリングS(G2)が開催されます。
本番の切符は3枚。手にするのは果たして?!
血統傾向についてはこちらで解説しています。
それでは今週も
全頭血統考察スタート!
目次
【スプリングS(GⅡ)全頭血統考察】
1枠1番ビーアストニッシド
父アメリカンペイトリオット 岩田康
父アメリカンペイトリオットはアメリカ産馬。現役時の主な勝ち鞍はメーカーズ46マイルステークス(アメリカGI・芝8F)
現役引退後、日本に輸入され種牡馬となった。この世代が初年度産駒となる。
父系の血統背景はWar Front~Danzig~ノーザンダンサー系のライン。
日本でもおなじみのDanzig系の血統となるのでマイルが基軸となりそうだが、アメリカンペイトリオット自身が中距離での重賞勝ち鞍もあるのでそこを伝えるようだと産駒も2000mくらいまでは走れそう。
現時点での中央で勝ち上がっている全8頭のうち6頭がサンデーサイレンスを持つ牝馬との交配。
やはりアメリカンペイトリオット自身がサンデーサイレンスを持たないので、ここは素直にサンデーサイレンスを取り入れることが良さそうだ。
本馬は母父ネオユニヴァース(サンデーサイレンス)にキングカメハメハという日本の王道血統との配合なので、マイルで勝ち上がったが、京都2S(G3・芝2000m)で2着、共同通信杯(G3・芝1800m)で3着だったように距離への適応もある。
ここも堅実に走りそうです。
2枠2番エンギダルマ
父ルーラーシップ 丸山
父ルーラーシップについてはこちらで解説しています。
母アユサンは桜花賞馬。
血統背景はディープインパクト×Storm Catの黄金配合。
ルーラーシップ×ディープインパクトの組み合わせは代表産駒の菊花賞馬キセキと同じ。
このような血統なので完成期が楽しみな一頭といえる。
父の産駒らしく勝ち味には遅く、勝ち上がりまでに3戦を要しました。
今回も引き続き中山で走れるのは魅力ですが、距離短縮は微妙なところです。
3枠3番サトノヘリオス
父エピファネイア 岩田望
父エピファネイアはこちらで解説しています。
母エアマグラダは現役時、中央で9戦4勝(条件馬)
芝1600m~2000mの中距離で活躍した。
母母エアデジャヴーはクイーンS(G3・芝1800m)勝ち馬で、桜花賞3着、オークス2着、秋華賞3着というG1戦線でも活躍した馬。
このように中距離適性の牝系にタフなエピファネイアを持ってきた。
サンデーサイレンスのクロスはエピファネイア配合において重要なポイントの1つだが、本馬の場合は母父にサンデーがいるので2×4クロスというなかなか濃い血統。
前走ホープフルS時には「ここまで見る限りは気の悪さは出ておらず、良い面を引き継いでいるように見えるのでここも期待したい。」と考察したのですが、出遅れもあり13着。
4コーナーからの仕掛けが結果的には早く、最後垂れてしまうことになりました。
鞍上にもその時の反省があるでしょうし、そこを踏まえてもう一度期待します。
4枠4番グランドライン
父ドゥラメンテ 三浦
母母ロイヤルファンタジーはドイツセントレジャー(ドイツG2・芝2800m)勝ち馬。
牝系が重厚なドイツ血統なので日本では重たすぎて、母もその産駒たちも中央での勝ち上がりはこれまで出していなかった。
本馬はそんな血統背景の母系に決め手をプラスすべくドゥラメンテを注入。
そうして本馬は2戦目で見事勝ち上がることとなったわけだが、その後はやはり惜敗続き。
血統的観点では次の代でさらにサンデーの血を増強させてより日本に適応する配合を行いたいところ(余談ですね)。
前走ホープフルS時には「惜敗続きならある程度はやれそうかもと思うのだが、新潟2歳Sでは世代上位のセリフォスに完敗しているのでG1のここでも善戦できるかと言われるとちょっと難しそう。」と考察した通り、9着。
自己条件では善戦しているので、重賞のここでどの程度やれるかで世代のこの馬の立ち位置がわかりますね。
前走逃げた経験が活きるようなら面白くなりそうです。
4枠5番サノラキ
父ゴールドシップ 大野
父ゴールドシップについてはこちらで解説しています。
母コーラルビューは現役時2勝でその勝ち鞍は芝・ダート1つずつ。
母父キングヘイローは高松宮記念(G1・芝1200m)勝ち馬ながら中距離戦線でも活躍した。
血統にはHaloの血を内包している。
ゴールドシップ配合にはこのHaloの血を増幅させることが有効で、オークス馬ユーバーレーベンなどと同じ。
東京ダートで2戦使った後、中山で勝ち上がったあたりはこの系統という感じがしますね。
上述したような血統なのでここで芝にチャレンジする気持ちは理解できるのですが、それがいきなりトライアルというのはどうかと思います。
ただし、雨はこの馬にとっては恵みの雨となるでしょう。
5枠6番ドーブネ
父ディープインパクト 武豊
父ディープインパクト×母父Storm Cat系の組み合わせは言わずと知れた黄金配合。
母父Footstepsinthesandはイギリス2000ギニー(芝8F)勝ち馬で母方にBlushing Groomを持つ。
このBlushing Groomもディープインパクトと相性の良い血でミッキークイーン(オークス、秋華賞)やマカヒキ(日本ダービー)などを出している。
またジェンティルドンナ(牝馬三冠を始めG1を7勝)やディープブリランテ(日本ダービー)などが持つLyphardのクロスもディープ配合の成功パターンの1つだが、本馬はそのLyphard直仔のAlzaoのクロスを持っている。
前走朝日杯FS時には「ディープインパクト配合における成功ポイントを多く持っているが、少し柔らかすぎる印象も。」と考察して7着。
今回は中山が合うかという点と距離延長がどうかというクリアするポイントは2つあります。
5枠7番ディオ
父リオンディーズ 戸崎圭
父リオンディーズは母が名牝のシーザリオでその父キングカメハメハとの交配。
半兄にはエピファネイアがいる。
エピファネイア同様、配合はサンデーサイレンスのクロスが良く、本馬も母父がマンハッタンカフェ(サンデーサイレンス直仔)なのでサンデーのクロス4×3となる。
本馬の半兄ソウルラッシュは昨年末連勝で3勝クラスに出世しており、本格化の兆しを見せている。
血統は父ルーラーシップなので本馬の父と同じキングカメハメハ系。
そのような血統背景なので本馬も本当の意味での成長はまだ先にありそう。
前走のデビュー4戦目で勝ち上がったばかりですが、中山コースであることも距離1800mであることもプラスに働きそうです。
現状の力でどこまでやれるかですね。
6枠8番アサヒ
父カレンブラックヒル 田辺
母母ウインドインハーヘアは言わずと知れたディープインパクトの母。
父カレンブラックヒルはNHKマイルC勝ち馬。
その父はダイワメジャーで母方にはStorm CatとUnbridledを内包する。
つまり本馬はディープインパクトの牝系にStorm CatとUnbridledという血統構成となるので「アンディープキャット」の類似配合と言える。
↑アンディープキャットについてはこちら
父カレンブラックヒルが1600~1800mの馬だったように本馬もそのあたりが適性距離だろう。
前走共同通信杯では出遅れも響き5着。
東スポ杯でイクイノックスの2着になったように力はあるので、まともに走ればここでも上位候補です。
6枠9番ソリタリオ
父モーリス 横山武
母母ライラプスはG3クイーンカップ勝ち馬。
3代母フサイチエアデールはシンザン記念(G3)を始め、重賞を3勝というしっかりとした牝系。
父モーリスはサンデーを持ちつつ非主流の血統。
その為、配合は牝系に主流血統を持ってくることがセオリーとなる。
本馬の母はキンカメにサンデーサイレンスという日本の2大主流血統を持つ血統なのでこのセオリーに合致。
全走シンザン記念時には「モーリス産駒はなかなか勝ちきれない特徴もあるが、デビューからここまで崩れていないし、ここも堅実に走ってきそう。モーリス産駒は中京1600mでの複勝率が高いことも心強い。」と考察した通り、2着。
中山のコース変わりとなるここは血統的にプラス、中心視したい。
7枠10番アルナシーム
父モーリス 福永
↓本馬についてはデビュー前に血統注目馬として下記のように考察しました。
『父モーリスは2015年の年度代表馬。
国内外で、マイル~2000mの距離のG1を6勝した。
この世代が種牡馬として2世代目。
2020年種牡馬ランクは第43位。
(新種牡馬ランクは第2位だった)
母シュベルアリは現役時未出走。
繁殖としてデビュー済み産駒は1頭のみで未勝利(父エピファネイア)。
繁殖力はまだ何とも言えない感じ。
血統背景は父ディープインパクト(サンデーサイレンス系)×母父Essence of Dubai(~A.P. Indy~Seattle Slew~Bold Ruler~ナスルーラ系)の組み合わせ。
その母ドバイマジェスティはアメリカG1馬(BCフィリー&メアスプリント・ダ7F)。
その仔にアルアイン(皐月賞、大阪杯)、シャフリヤール(日本ダービー)がいる。
モーリスは昨シーズンの新種牡馬。
その中で母父ディープインパクトとの組み合わせでは、ファルコンS(G3)を制してNHKマイルC(G1・10着)に駒を進めたルークズネストを輩出している。
非主流血統なので王道主流のディープインパクトは合うのだろう。
洋芝適性が高いタイプが多いので、北海道滞在のうちに勝ち上がってさらなる成長を促していきたい。』
↑予定通り札幌のデビュー戦を快勝し、成長を促す為に放牧へ。
休み明けの東スポ杯は出遅れ&折り合いを欠いて6着。
そして大一番朝日杯FSでも後方からとなりましたが4着と善戦。
それなら自己条件では!と前走期待されましたが2着。
相手なりに走るタイプなのでしょう。
7枠11番トーセンヴァンノ
父ヴァンキッシュラン 田中勝
母母へニーズソングはアメリカのリステッド競争勝ち馬で、3代母Zama Hummerはアメリカ重賞(ダ・6F)勝ち馬というしっかりとした牝系。
父ヴァンキッシュランはディープインパクト産駒で母父Sadler’s Wells系。
この組み合わせは日本ではシンハライトを出しており、海外でも大活躍のスノーフォールも同じ。
このような血統背景になるので父として見た時には、母系にスピード血脈を持ってくることが○。
先述したように本馬の母系はアメリカダートの短距離系なのでこのセオリーに合致。
札幌2歳S時には「ディープ系ながらヨーロッパ血統も内包している父の産駒ということなので、洋芝は歓迎。前走と同じ舞台ならここでも期待したくなる。」と考察した通り3着に入着。
その後、本州に移動してからは低迷しているので、やはり洋芝でない場合は渋った馬場の方が良いのでしょう。
8枠12番アライバル
父ハービンジャー ルメール
父ハ-ビンジャーについてはこちらで解説しています。
本馬についてはデビュー前に下記の通り考察しました↓
『母クルミナルは現役時5戦2勝。
3歳時にデビューから2連勝でオープン入りすると、桜花賞2着、オークスで3着とクラシック戦線で活躍した。
タイトル奪取へ「さぁこれから!」というところで屈腱炎を発症・・・
そのまま引退し、繁殖となった。
血統背景は父ディープインパクト(サンデーサイレンス系)×母父Candy Stripes(Blushing Groom~ナスルーラ系)の組み合わせ。
ターフで見せた類稀なる末脚は、父ディープインパクトにLyphardのクロス+Wild Riskの爆発力によるもの。
繁殖としては、初仔こそ能力がありながら未勝利で終わったものの、2番仔のククナは今年の牝馬クラシック戦線に登場。そのうち重賞馬も輩出しそうな雰囲気が漂っている。
父ハービンジャー×母父ディープインパクトの組み合わせは、これまで28頭がデビューしており、18頭が勝ち上がりとなかなか好成績な配合。(※注2021.6.17現在)
その中でファルコンステークス(G3)を制したハッピーアワーという重賞馬も輩出している。
このハッピーアワーとはLyphardのクロスを持つ点でも一致しているが、本馬の場合は母がLyphardのクロスを持った上で父からもう1本、つまり都合3本のLyphardが入っていることになる。
このあたりがどう作用するのかは大変興味深い。
育成から順調に来ており、ここでデビューすることは当初からの目標通り。
この順調な流れで結果も出し、母悲願のG1タイトルをもたらして欲しいものです。
頑張れ!アライバル!』
↑デビュー勝ちのあと、重賞を2着と4着。
力はありますが、なかなか勝ち切れていません。
ここももちろん力は上位ですが、そのあたりがどうでしょうか。
なんとなく世代のモノサシ的存在になりそうです。
8枠13番オウケンボルト
父フェノーメノ Mデムーロ
母母オウケンサクラはフラワーC(G3・芝1800m)勝ち馬で桜花賞2着に入着。
3代母ランフォザドリームはチャンレジC(G3・芝2000m)勝ち馬でエリザベス女王杯2着に入着。
4代母ミルフォードスルーはシンザン記念(G3・芝1600m)勝ち馬で阪神3歳S(現阪神JF)3着に入着。
このようにしっかりとした血統背景が牝系にある。
父フェノーメノはステイゴールド直仔で、自身は天皇賞(春)連覇を始め、中長距離で活躍した。
そのような父系なので中山は得意とするところですが、距離は長めの方が良さそうなので短縮となるここで前走からの上がり目があるかというと微妙な印象です。
以上、全13頭血統考察でした。
画像元:(c)netkeiba.com
【YRAとみっちゃんの予想対談】
↑料理と配合は相通じるのです(笑)
2022.3.18 post
【本命確定!】
ソリタリオ
アサヒダルマ
おいっw
2022.3.20 post