「血統表は競走馬の設計図!」ということで。
古馬最強決定戦天皇賞・秋です!
目次
天皇賞(秋)血統傾向
□やっぱりディープインパクト
2022年(良)
1、 キタサンブラック 母父アメリカ型
2、 ロードカナロア
3、 ハーツクライ
2021年(良)
1、 エピファネイア
2、 ディープインパクト 母父アメリカ型
3、 ディープインパクト 母父アメリカ型
2020年(良)
1、ロードカナロア
2、ディープインパクト 母父ヨーロッパ型
3、バゴ
2019年(良)
1、ロードカナロア
2、ディープインパクト 母父ヨーロッパ型
3、クロフネ
2018年(良)
1、 キングカメハメハ
2、 ディープインパクト 母父アメリカ型
3、 ルーラーシップ
2017年(不良)
1、 ブラックタイド
2、 Marju
3、 ステイゴールド
2016年(良)
1、 スクリーンヒーロー
2、 ディープインパクト 母父アメリカ型
3、 ディープインパクト 母父アメリカ型
2015年(良)
1、 キングカメハメハ
2、 ディープインパクト 母父アメリカ型
3、 フジキセキ
2014年(良)
1、 ディープインパクト 母父アメリカ型
2、 ディープインパクト 母父アメリカ型
3、 フジキセキ
2013年(不良)
1、 ハーツクライ
2、 ディープインパクト 母父アメリカ型
3、 キングズベスト
種牡馬王ディープインパクトは2013年から2022年までの過去10年で、不良馬場で開催された2017年と、昨年以外で連対しています。
内訳は1勝・2着8回・3着2回の計11頭。
昨年馬券内に送り出すことが出来なかったのは少し気がかりですが、まだまだ馬券の中心はディープインパクト産駒からとしておきます。
配合としては先述した11頭のうち9頭が母父アメリカ型との交配による馬でした。
「ディープインパクト×母父アメリカ型」が本レースにおける好配合と言えるでしょう。
今年の出走予定馬で、ディープインパクト産駒は、
ジャスティンパレス、プログノーシスが該当しています。
この2頭は共に母父がアメリカ型となっています。
昨年勝ったイクイノックスはキタサンブラックの産駒。
キタサンブラックは日本主流血統サンデーサイレンス~ディープインパクトの本流を継ぐ種牡馬と位置づけられているので今後この舞台で主流となって来る可能性は高く、今年も引き続き無視はできないでしょう。
ちなみにこのイクイノックスも母父はアメリカ型でした。
尚、今年の出走馬の中では、イクイノックスの他にガイアフォースもキタサンブラックの産駒となっています。
天皇賞秋全頭血統解説
それではここからは全頭の血統についてです!
1枠1番ノースブリッジ
父モーリス 岩田康
父モーリスが「ロベルト系とノーザンテースト」の組み合わせということで、3歳の時には中山適性の高さを見せていた。
古馬になり母父アドマイヤムーンが出てきた感があり、東京2000mの条件戦を勝ちオープン入り。
そのままエプソムC(東京芝1800m)も、好位から直線の追い比べを抜けだし優勝しています。
モーリスの5歳ということで、さらなる成長が期待できる年。
それを証明するかのように前走AJCCでも優勝しました。
春のG1大阪杯では「残る狙いはG1の頂きのみです。ただし、ここは血統的にはプラス材料は特にありません。」と考察し8着でした。
そして秋の始動戦となった前走オールカマーでも7着。
休み明けでしたので万全の仕上げではなかったでしょうから悲観する必要はありません。
ここで考察してきたようにベストは東京の中距離なので狙っているのは明らかにここでしょう。
その上でこの相手にどこまでやれるか、それだけです。
2枠2番エヒト
父ルーラーシップ 横山和
母ヒーラは現役時3勝(条件馬)。短距離戦線で活躍した。
父ルーラーシップ×母父ディープインパクトの組み合わせは、菊花賞馬のキセキと同じ。
さらにこの組み合わせで母が短距離というのはオープン馬アンティシペイトも同じ。
昨年七夕賞(福島・芝2000m)で重賞初制覇を遂げると、今年も小倉記念を優勝。
この馬に関しては「ベストは阪神」と思っていましたが、結果的には小回り平坦が良いんでしょうね。
いずれにせよ東京はベストではなさそうです。
血統的にはゴリゴリの東京巧者になっても不思議無かったんですけど笑
3枠3番ドウデュース
父ハーツクライ 武豊
母ダストアンドダイヤモンズはアメリカ産馬で現役時、11戦6勝。
主な勝ち鞍はギャラントブルームH(アメリカG2・ダート6.5F)。
BCフィリー&メアスプリント(アメリカG1・ダート7F)では2着に入着した。
父ハーツクライ×母系にSeattle Slewを持つ組み合わせは、ジャパンカップ勝ち馬のスワーヴリチャード、オーストラリアG1・コーフィールドCを勝ったアドマイヤラクティ、アメリカG1・ウッドワードS、ターフクラシックS勝ちのYoshidaと同じ。
また、Lyphardのクロスは代表産駒リスグラシュー(有馬記念などG1を4勝)やタイムフライヤー(ホープフルS)と同じ。
尚、タイムフライヤーとはHail to Reasonのクロスを持つことも共通している。
昨年皐月賞で流れが向かないながら3着と頑張った後、栄光のダービー馬に輝きました。
その後秋は凱旋門賞に挑戦しましたが、日本馬には過酷な馬場で19着。
京都記念時には「血統的にはここで枯れるタイプではないので、明け4歳始動戦でどのようなパフォーマンスを見せてくれるか楽しみです。」と考察した通り危なげなく優勝しました。
そこから海外の取り消しを含み7ヶ月レースに出ていないことをどう見るかですが、絶好調みっちゃんが大丈夫と言っているので大丈夫でしょう(笑)
4枠4番ダノンベルーガ
父ハーツクライ モレイラ
母コーステッドはアメリカ産馬でBCジュヴェナイルFターフ(G1)2着。
母母Malibu Pierはアメリカ芝重賞勝ち馬で、3代母Blue Moonもアメリカ重賞勝ち馬。
このように底力あふれる牝系。
父ハーツクライ×母系にSeattle Slewを持つ組み合わせは、ジャパンカップ勝ち馬のスワーヴリチャード、オーストラリアG1・コーフィールドCを勝ったアドマイヤラクティ、アメリカG1・ウッドワードS、ターフクラシックS勝ちのYoshidaと同じ。
基本的に晩成傾向が種牡馬ハーツクライの取り扱い説明書だが、Danzigの血を入れることでサリオス(朝日杯FS)、カテドラル(NHKマイルC・3着)などといった早期始動が可能となる。
本馬も母父TizwayにこのDanzigの血を内包している。
前走札幌記念では「堅実さが売りでここまで掲示板を外したことがありません。海外帰りの休み明けということで普通なら手が伸びにくいですが、この馬をバッサリ切るのはわしにはできません。」と考察し4着でした。
これは休み明けというよりも、馬場が悪いところを通らされたことに原因があるのでやはり力ある馬だなといった印象が強くなりました。
この舞台なら去年と同等かそれ以上のパフォーマンスを期待します。
5枠5番ガイアフォース
父キタサンブラック 西村淳
母ナターレは地方重賞戸塚記念(ダート2100m)を勝ち馬。
繁殖としても地方で走っている馬を多く出している。
父キタサンブラックは古馬G1を7勝した国民の愛馬。
その父ブラックタイドは名馬ディープインパクトの全兄という血統。
種牡馬としてこの世代が初年度産駒だった。
この馬の母父クロフネはディープインパクトと相性が良く、ダービー馬マカヒキやショウナンパンドラ(ジャパンC、秋華賞)などを輩出している。
先ほど述べたように父父ブラックタイドはディープインパクトと同血となるので、クロフネの血はキタサンブラックとの交配でも相性が良い可能性がある。
今年の初戦となったAJCCでは得意の中山で5着。
マイラーズCでは「ここは一気の距離短縮となるので、ペースについていけるかどうかがポイントとなります。血統的には母父クロフネが好感ですが、果たして。」と半信半疑だったのですが、2着でした。
安田記念では「中距離の馬と思っていたのですが、結果的にこの時述べたクロフネが効いているとなれば、東京マイルのここも無視しない方が良さそうです。」と述べて4着。
そして前走中山中距離に戻したオールカマーでは5着。
ということでベスト適性がイマイチどこかわからなくなってきました。
というか、好走はするけど勝ちきれないってところがこの馬の現在地のような気も。
だとするとここも善戦止まりかもしれませんね。
東京変わりは間違いなくプラスです。
6枠6番ジャスティンパレス
父ディープインパクト 横山武
母パレスルーマーはアメリカ産馬で、繁殖としてアメリカでPalace Malice(ベルモントS、メトロポリタンHとG1を2勝)を輩出した後、日本に輸入された。
日本ではオルフェーヴルとの間にオープン馬アイアンバローズを輩出している。
本馬はそこから父がディープインパクトに変わって、早期始動が可能となった。
2歳のホープフルSを2着と好走した後、クラシック戦線へ。
皐月賞、ダービーではともに9着でした。
母系にRobertoを内包しておりスタミナが補完されていて、菊花賞では3着。
戦前の距離が長いとの評価を蹴散らしました。大外枠をカバーする為の積極策も功を奏しましたね。
その後暮れの有馬記念では7着。まだ完成していない中での結果ですから悲観する必要は無かったと考えています。
阪神大賞典では「今年初戦ですが、ここは菊花賞(3着)と同じ舞台。血統的にももちろんプラス評価です。」と考察し、見事優勝。
そして春最大目標だった天皇賞春では「ディープインパクト産駒ということでここも血統的には最上位の評価をします。」と考察し見事優勝。
そして前走宝塚記念では「一気の距離短縮がどう出るかですが、馬は充実期を迎えています。」と考察し3着。
本当に充実していますね。
ここはさらなる距離短縮なので手放しで推すことはできません。
距離適性を思えば次のジャパンカップや有馬記念にピークを持ってきそうですしね。
それでも今の充実ぶりを思えば無様な内容にはならないのではないかなと思っています。
6枠7番イクイノックス
父キタサンブラック ルメール
母シャトーブランシュはマーメイドS(G3・阪神2000m)勝ち馬。
繁殖としてキングカメハメハとの間にラジオNIKKEI賞(G3)を勝ったヴァイスメテオールを輩出している。
父キタサンブラックは現役時、古馬G1を7勝した国民の愛馬。
その父ブラックタイドは名馬ディープインパクトの全兄という血統。
種牡馬としてはこの世代が初年度産駒。
傾向としてはダンシングブレーヴと相性が良いのだが、
これはダンシングブレーヴの父Lyphardの血が合っているのではないかと推察している。
このLyphardは、ディープインパクト配合において相性が良い血。
完成度が早く、昨春は皐月賞とダービーで2着。
そしてひと夏越して天皇賞秋では圧巻の走りで古馬を相手に初戴冠を果たしました。
そして暮れの有馬記念では「ここも一番人気に推されそうで、勝てばたぶん年度代表馬に選ばれます。お父さんのキタサンブラックはこのレースを勝っていますし、3歳時にも3着に入着しとるけん、血統的にマイナス評価する理由は見当たらないですね。」と考察した通り1着。年度代表馬に輝きました。
今年初戦となった前走は海外を選択。そこでも圧巻のパフォーマンスで3つ目のタイトルを手にしました。
前走の宝塚記念では「このクラスの馬になれば、気にするのは体調が万全かどうかというところだけでしょう。」と考察した通り、優勝。
ここも体勢が整っているかどうかだけ。
このクラスの馬ですから使ってくるということは今回も大丈夫ということだと思います。
7枠8番ヒシイグアス
父ハーツクライ 松山
母ラリズはアルゼンチン産馬。現役時、13戦9勝の戦績。
主な勝鞍はコンデッサ賞、オクレンシア賞(G3・芝1000m)
父ハーツクライと母父Storm Bird系との組み合わせはウインバリアシオン(日経賞(G2)、青葉賞(G2))、ゴーフォザサミット(青葉賞(G2))、コレクターアイテム(アルテミスS(重賞))を始め、活躍馬多数の良好配合。
ハーツクライの産駒は基本晩成傾向で、5歳時に初めて重賞を制覇した。
5歳になって本格化するあたりは「まさにハーツクライ産駒らしい血統」と言える。
6歳の昨年は大阪杯で4着、宝塚記念で2着。
そして7歳の今年中山記念で1着、大阪杯で7着、札幌記念で5着。
よく頑張っていますが、超一線級相手のここではさすがに厳しそうです。
7枠9番プログノーシス
父ディープインパクト 川田
母ヴェルダはイギリス産馬で11戦2勝(海外)
繁殖としてOrpenとの間にイギリスG1・チヴァリーパークS(芝6F)勝ち馬のVordaを輩出している。
日本に輸入されてからも本馬を含み複数勝ち馬を2頭輩出しており、繁殖力はかなり高い。
日本でも重賞馬を出す可能性はかなり高いだろう。
3代母にはイタリアオークス、イタリア1000ギニー(共に当時G1)を勝ったVal d'Ericaがいる牝系。
母父Observatoryはアメリカ産馬で、クイーンエリザベスⅡ世S(イギリスG1・芝8F)とイスパーン賞(フランスG1・芝1850m)勝ち馬。
アメリカ産馬ながらヨーロッパのG1を制した血統的背景は、重厚なRobertoの血を内包している。
そのあたりが「ディープインパクト×米国血統」の早期完成のスタイルからややズレる形をとなっており、ここまで着実な成長を遂げてきた。
今年の始動戦となった金鯱賞では「出遅れ癖は気になるところですが、鞍上がある程度ポジションを取りにいってくれそうな川田騎手に代わることはプラスです。血統的にもこの舞台に相性の良いディープインパクトですからもちろんマイナス評価する理由はありません。」と考察し、見事1着でした。
その後海外遠征(クイーンエリザベスⅡ世C)でも2着と頑張りました。
そして前走の札幌記念では「今がまさに充実期でここも力は上ですが、母父ミスプロ系はここと合わないので割り引きたいと思っています。」と考察したのですが優勝しました。
全く見当違いな考察で、本当に申し訳ありませんでした。
ここはその札幌記念でマイナスとした交配が逆に合う舞台ですので、わしとしては札幌記念以上のパフォーマンスを見せてくれないと困るといった感じです(苦笑)
ということで、ここで案外な走りをされたらいよいよこの馬のことが嫌いになりそうです。あまり参考にはしないでくださいね(自虐)
8枠10番ジャックドール
父モーリス 藤岡佑介
3代母にアメリカG1(ダート9F~10F)を5勝した名牝It's in the Airがいる牝系。
父モーリスはサンデーサイレンスを持ちつつ、非主流な血統で構成されているが、この馬は牝系にサンデーの血はなし。
その分、牝系にはアメリカ血統が凝縮されており日本に適したスピードを引き出している。
春の大阪杯では「あとは悲願のG1タイトルを手にするだけの状況ですが、昨年は壁に跳ね返され5着。昨年から鞍上が武豊さんに変わることと、2000m戦は得意なので楽しみです。
ただ血統的にはモーリス産駒という点で、特にここでプラス評価はありません。」と考察し、1着。
安田記念では「ここは距離短縮となりますが、血統を思えばむしろここは走りやすそうに思います。」と考察しましたが、5着。
わしの中ではこれで中距離というのがはっきりしました。
ただそれだけに前走の札幌記念での敗退が不可解です。
燃え尽きたというわけではないと思いたいです。
ここは昨年考察したように一番合う舞台だと思っているので、この馬の良さを引き出す競馬をして欲しいですね。
おい佑介、再び巡ってきたチャンスなんじゃけん、去年のような騎乗だけは勘弁せぇよ。
ガンバレ。
8枠11番アドマイヤハダル
父ロードカナロア 菅原明
父ロードカナロア×母父ディープインパクトの組み合わせは、京王杯2歳S(G2)を勝ったファンタジストやポートアイランドS(L)を勝ったドナウデルタと同じ。
ドナウデルタとは母にLyphardのクロスを持つことでも共通点がある。
ドナウデルタはそのような血統背景に+Danzigなのでよりスピード適性が勝っており、マイル~1400mの仕様に。
本馬の場合は、Danzigではなく、+トウショウボーイ(皐月賞とか有馬記念)なので中距離に出ている。
このように中距離が走れるロードカナロアで、そういうタイプは得てして中山は得意で、皐月賞4着、古馬になってからも中山記念で3着という成績を残しています。
前走毎日王冠では腹をくくって後ろからの競馬で、4着に追い込んできました。
新たな一面を発見できたことは今後の楽しみとなりました。
この舞台も引続き最後の直線は楽しみが広がりますが、問題はこの超豪華なメンバー構成です。
以上、全11頭の血統解説でした。
血統表:(c)netkeiba.com
2023.10.27 post
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