血統調査員のYRAです。
「血統表は競走馬の設計図!」ということで。
今週はG1クラス馬達の始動戦、毎日王冠と京都大賞典です。
過去多くの名勝負を生み出してきたレース。
今年はどんな戦いが繰り広げられるでしょうか?!
毎日王冠の血統傾向については先日こちらで述べました。
それでは
まずは伝統の毎日王冠、全頭血統考察スタート!
【毎日王冠(GⅡ)】
1枠1番シュネルマイスター
父Kingman ルメール
母セリエンホルデはドイツ産馬でドイツオークス(ドイツG1・芝2200m)勝ち馬。
父Kingmanはイギリス、フランスの最高峰マイルG1を制した「キングオブマイラー」。日本種牡馬の王ディープインパクトが持つSir Ivorを持っており、さらにその相似の血であるDroneも持っていることから日本的な瞬発力が備わっている。
外国の種牡馬ゆえに日本でのサンプル数は少ないが、同世代でチューリップ賞(G2)を制したエリザベスタワーを輩出するなど成功確率は高い。
このエリザベスタワーとは母父にSadler’s Wellsを持つことが共通しており、またKrisの血をクロスしてスピードを増強していることも共通点。
これが現時点での日本におけるKingmanの成功配合と言える。
NHKマイルC時には、日本の最高峰を決するスピードが求められる舞台にどこまで対応できるかがポイントだと述べていましたが、そこをあっさりクリアして世代のマイル王の座に輝きました。
そして前走古馬との初対戦となった安田記念でも適性を示した上で斤量が軽いアドバンテージを活かして3着。
今回1800mに距離延長することは本レースが、マイラーが好走しやすいレースであることを考慮すれば問題はないでしょう。
あとは別定戦の為、古馬に混じっても56kgを背負うことがどう影響するかがポイントであると考えています。
2枠2番サンレイポケット
父ジャングルポケット 鮫島駿
3代母にオープン馬アドマイヤラピスがいる牝系。
父ジャングルポケットは日本ダービーとジャパンカップを勝った東京巧者。
これはその父トニービンの影響がそのまま出ている形。
本馬もその父の影響を受け継ぎ、東京は得意で昨年本レースで3着。
今年も好走を期待したい。
3枠3番ラストドラフト
父ノヴェリスト 三浦
母マルセリーナは桜花賞馬。
父ノヴェリストの産駒らしく重厚なヨーロッパ血統なので本馬のようにサンデーサイレンスのスピードを取り入れることが配合の基本となる。
それでもなかなか勝ちきれないところがこの血の重厚さを物語っている。
本馬もデビューから連勝で京成杯(G3・中山芝2000m)を勝ったあとは勝ち星を挙げることができていない。
一貫して2000m以上を使われてきており、東京芝1800mはデビュー戦以来。
ノヴェリスト産駒は、東京1800mは得意な舞台なのでそこに活路を見出せるか。
4枠4番マイネルファンロン
父ステイゴールド 横山武
母母マイネヌーヴェルはフラワーC(G3)勝ち馬。
母は、ここまで全てステイゴールド系と交配されており、勝ち上がり率も高かったが、今年のオークスで本馬の3/4妹ユーバーレーベンがG1タイトルを獲得。
こだわってきた配合がついに実を結ぶこととなった。
Haloのクロスでスピードを増強させており、ユーバーレーベンはオークス(東京・芝2400m)を制したが、血統的には元来どこをどう切り取っても中山がベスト。
4枠5番ポタジェ
父ディープインパクト 吉田隼
母ジンジャーパンチはアメリカG1を6勝した名牝。
母母ナッペロンも重賞勝ち馬というしっかりとした牝系。
3/4同血の姉(父マンハッタンカフェ)ルージュバックは、本レース勝ち馬だったように東京芝1800mがベストな馬だった。
本馬はそこから父がディープインパクトに変わっているので血統的には合わないわけがない。
4連勝でオープン入りして重賞でも好走している本馬がG1馬相手にどれだけやれるか楽しみに見守りたい。
5枠6番カデナ
父ディープインパクト 田辺
母フレンチリヴィエラはアメリカ馬で主な勝鞍はサラブレッドクラブオヴアメリカS(G3・ダート6F)
父ディープインパクト×母父フレンチデピュティの組み合わせは、マカヒキ(日本ダービー)、ショウナンパンドラ(ジャパンカップ、秋華賞)を出している成功配合の1つ。
母産駒には全姉クイーンリヴィエラも3勝しており、このことからも配合の相性の良さをうかがい知ることができる。
また産駒の完成を早めるには母がスプリンターであることがポイント。
本馬の母はアメリカのダートスプリント重賞を制しており、合致している。
このような血統背景を武器に本馬も早期始動からクラシック戦線に乗った。
安田記念で6着、宝塚記念では7着とまだそれなりに頑張ってはいますが、ディープインパクト産駒の7歳。ピークが過ぎた印象は否めません。
血統的には東京1800mは推せるけど。
5枠7番ダノンキングリー
父ディープインパクト 川田
母マイグッドネスは米国馬で現役時は1勝のみの戦績。
半兄はダノンレジェンド(G1・JBCスプリント))。
祖母Caressingが米ジュベナイルフィリーズの勝ち馬なので、
米血統マイラーの肌馬にディープインパクトのしなやかさを組み合わせるという、父の成功配合のパターンと合致している。
父ディープインパクト×母父はStorm Catの組み合わせはニックス配合。
G1馬だけで、キズナ(日本ダービー)、エイシンヒカリ(イスパーン賞(仏G1)、香港C(香港G1))、リアルスティール(ドバイターフ(ドバイG1))、サトノアラジン(安田記念)、ラキシス(エリザベス女王杯)、アユサン(桜花賞)、Study of Man(ジョッキークラブ賞(仏G1))がいる。
ここにこの度本馬も加わることとなった。恐るべしディープインパクト×Storm Cat。
また母母父系にはAl Nasrがおり、これは父がLyphardなのでLyphardのクロスが4×6で成立しているということになる。
このクロスは瞬発力を増幅しやすく、父ディープインパクトとの組み合わせにおいて相性が良く成功確率を高める配合の1つ。
このようにお手本のような配合で、3歳時にはクラシック戦線で皐月賞3着、日本ダービー2着と非凡な能力を見せて戴冠まであと1歩のところまで迫っていました。
そこから低迷期を経て前走の安田記念で悲願の初戴冠。
そもそも東京芝1800mは一昨年このレースを制覇しているように得意舞台。
別定戦の為58kgのトップハンデを背負わされることが唯一の不安点。
6枠8番ダイワキャグニー
父キングカメハメハ 石橋脩
母トリプレックは現役時、30戦4勝(条件馬)。
父キングカメハメハは、非サンデーサイレンス系としてサンデーサイレンス系肌馬との交配でここまでの種牡馬としての地位を築いた。
成功配合パターンのほとんどが母父サンデーサイレンス系との組み合わせである。
本馬の「父キングカメハメハ×母父サンデーサイレンス」という組み合わせは、
ローズキングダム(ジャパンカップ、朝日杯FS)や、ドゥラメンテ(日本ダービー、皐月賞)、ベルシャザール(ジャパンカップダート)といったG1馬を始め、活躍馬多数を輩出している父の王道配合。
昨年のエプソムカップ以来勝ち鞍からは遠ざかっており、今回その時と同じ舞台になることは好材料。
馬場状態は渋った方が良いでしょうね。
6枠9番ヴェロックス
父ジャスタウェイ 浜中
母セルキスはドイツ馬でディアナトライアル(ドイツG2・芝2000m)の勝ち馬。
ジャスタウェイの父ハーツクライがサンデー系の中で重ためな血統で本来はスタミナに富む。
「父×母にNijinsky」の組み合わせは、ここまで唯一のG1馬ダノンザキッド(ホープフルS)を始め活躍馬を多く輩出している。
なんとも適正が掴みにくいが、2走前の同条件エプソムカップでは4着と好走。
今年は一度も馬券になっていないが、成長力がありそうな血統なので買い時がまた来る可能性は十分ある。
が、それがいつ来るか読みにくい存在。
7枠10番ケイデンスコール
父ロードカナロア 岩田康
父ロードカナロアと×母父ハーツクライの組み合わせは、本馬の他にもトロワゼトワル(京成杯AH(G3))、ヴァルディゼール(シンザン記念(G3))といった重賞馬を輩出している。
また、海外でもブルーダイヤモンドステークス(オーストラリアG1)を勝ったTagaloaを輩出している注目の配合パターンである。
キンカメ系×ハーツクライなので成長力はバッチリで、今年に入って京都金杯1着→中山記念2着→マイラーズカップ1着とまさに充実期を迎えております。
その勢いで挑んだ前走のG1(安田記念)では10着大敗と壁に跳ね返された。
G2なら見直せるだろう。
7枠11番カイザーミノル
父ロードカナロア 横山典
父ロードカナロア×Fairy Kingの組み合わせはマイルCS(G1)勝ち馬のステルヴィオと同じ。このFairy Kingが持つSpecialの血はロードカナロアにも入っている血で、これを増強させることが大物輩出パターン。
ステルヴィオも古馬になり適距離が短縮しているように、本馬も現在のベストは1400m~1600mあたりの可能性が。
サンデーサイレンスを持たないロードカナロアは得てして父の適距離に似てくる傾向がある。
ただこのレースはマイラーが好走するレースでもあるので・・・悩むところだ。
8枠12番ヴァンドギャルド
父ディープインパクト 福永
母スキアはフランスのG3フィユドレール賞(芝2100m)勝ち馬。
父ディープインパクト×母父Sadler’s Wells系の組み合わせはオークス馬シンハライトと同じ。
また母母が持つBlushing GroomやDanzigも父と相性が良い血。
ということでどの要素が強く作用するか色々と考えることができる血統表ですが、本馬は今のところ1600~1800mが適正距離なので、Danzigの要素が強いと言えそう。
いずれにせよ東京は合うし、1800mも問題はなし。
8枠13番トーラスジェミニ
父キングズベスト 丸山
トーラスジェミニの父キングズベストはアメリカ産馬。
主な勝鞍はイギリス2000ギニー(イギリスG1・芝8F)
半姉に凱旋門賞を制したアーバンシーがいる血統で、父系はMr. Prospector~ネイティブダンサー系という系統。
日本では2010年のダービー馬エイシンフラッシュが代表産駒。
父キングズベスト×母父マンハッタンカフェの組み合わせは、サンプル数自体が少ないが、本馬の他にも複数勝ち馬を輩出している配合。
キングズベスト産駒は、スピードの持続力を引き継ぎ、逃げるスタイルが合う馬が多いです。
本馬は現役の中ではその筆頭ともいえる存在です。
その脚質ゆえ常に上位争いを求めることは難しく、展開などハマった時に馬券になるタイプと言えます。
いつ来るかは読めませんが、最近安定感がありますよね。
前走札幌記念では大敗(10着)しましたが、今回開幕週を走れることはプラス。
こういう馬はマークが甘くなってこそ。
以上、出走馬全13頭の血統考察でした。
2021.10.8 post
毎日王冠
わし◎ダノンキングリー
みっちゃん◎ポタジェ
2021.10.10 post
【京都大賞典(GⅡ)】
YRA みっちゃん、今週は京都大賞典です。
みっちゃん 京都って名前だけど今年は阪神で開催だよね。
YRA うん。
じゃけん過去傾向はほとんど意味ないって思った方が良いね。
みっちゃん う~ん、悩むレースだぁ~。
今日はYちゃん先に話してくれない?
YRA いいよ!
じゃあまずはアリストテレスから。
この馬はもう距離延長が良いよね。
宝塚記念とはメンバーが違うし、もちろん中心だと思う。
みっちゃん まぁ実績馬だしね。
YRA それにエピファネイアはまだサンプル数が少ないけど、この条件で勝率37.5%、複勝率62.5%とかなり得意にしている舞台。
みっちゃん それ聞くと、なんか逆らいにくくなるなぁ~。
YRA 長い距離ということで次はキセキ。
ルーラーシップはやっぱり長い方が良いしね。
この舞台でも勝率15.4%と高い水準にあります。
みっちゃん もう7歳なんだけど、前走も宝塚で5着だもんね!
YRA うん!まだまだ頑張っとるわ。
あと同じルーラーシップ産駒は2頭、ムイトオブリガードとダンビュライトもいるのでお忘れ無く。
みっちゃん なるほどね!
じゃあ本命は??
YRA アリストテレスにしようかなとも思っとったんやけど・・・
ヒートオンビートにするわ。
キンカメ産駒もこの舞台かなり良くて複勝率40.9%あるんよ!
堅実な馬じゃしこれにします。
みっちゃん 確かに馬券圏内は固そう!
YRA じゃあみっちゃんの番ね!
みっちゃん Yちゃん、俺今回は1頭しかいないんだ。
YRA お、マジで?!
悩みなしなんや??
みっちゃん うん!
YRA わかった!それでは発表して下さい!
みっちゃん はい、アイアンバローズです!
さっきYちゃんが種牡馬別の複勝率話してたけど、この馬自身の複勝率でいけばなんと阪神での複勝率100%なんだよ!
YRA おぉ~!それからそれから?
みっちゃん ・・・以上!
YRA えっ(笑)
みっちゃん 100%だから他に多くを語る必要はない!
岩田望来の初重賞制覇を祈っとく!
YRA 今週のみっちゃん男らしい!カッコいい!
京都大賞典
わし◎ヒートオンビート
みっちゃん◎アイアンバローズ
2021.10.10 post