血統調査員のYRAです。
「血統表は競走馬の設計図!」ということで。
今週は大阪杯前哨戦金鯱賞です。
本番へ向けてしっかり予想していきましょう。
目次
金鯱賞血統傾向
□ディープインパクトとRobertoの血
2022年(良)
1、モーリス 【R】
2、ディープインパクト
3、キズナ 【R】
2021年(重)
1、ディープインパクト 【R】
2、エピファネイア 【R】
3、ディープインパクト
2020年(良)
1、ロードカナロア
2、ディープインパクト
3、キングカメハメハ
2019年(稍)
1、ディープインパクト 【R】
2、ハーツクライ
3、キングカメハメハ
2018年(稍)
1、ハーツクライ
2、ディープインパクト
3、ディープインパクト
2017年(良)
1、キングカメハメハ 【R】
2、ダイワメジャー
3、キングカメハメハ
現行となった過去6年でディープインパクトは2021年優勝のギベオン、2019年優勝のダノンプレミアムなど、2勝・2着3回・3着2回の計7頭が馬券圏内に入着しています。
毎年G1の舞台でしのぎを削る馬たちが集結する舞台なだけに王道の種牡馬が強さを見せる構図になっていると言えるでしょう。
今年の出走馬でディープインパクトの産駒は、
ディープモンスター
プログノーシス
ポタジェ
の3頭が該当します。
続いてポイントとなる血を紹介します。
このレースにおけるポイントの血は「Roberto」となります。
過去6年で優勝した6頭のうち4頭、ジャックドール、ギベオン、ダノンプレミアム、ヤマカツエースがこの血を持っていました。
Robertoは大系統ターントゥの系統で、スタミナを伝える傾向があります。
中京芝2000mは急坂を2回通ることもあって、スタミナが要求されやすいコース形態となっていることからこのRobertoの血と相性が良いのではないかと思っております。
今年の出走馬でRobertoの血を内包するのは、
バイオスパーク
プログノーシス
になります。
以上、血統傾向についてでした。
金鯱賞全頭血統解説
それではここからは出走馬全頭について解説していきます。
アラタ
父キングカメハメハ 横山典
母サンシャインはエルフィンS(OP)勝ち馬。
母母バルドウィナはフランス重賞(芝2100m)勝ち馬という下地がしっかりとした牝系。
父キングカメハメハに母父ハーツクライの組み合わせなので距離は中距離~。
じっくり成長していくあたり母父の血が色濃く受け継がれているように見える。
4歳時に1勝クラスからオープンまで一気の4連勝。
そこから重賞戦線で戦った5歳時の昨年は札幌記念(G2・芝2000m)で4着、福島記念(G3・芝2000m)で3着と頑張っています。
年明け6歳の初戦(中山金杯)も堅実さは健在で4着。
ここもマイナス要素は無いですし、この馬なりに走ってくれるでしょう。
グランオフィシエ
父キングカメハメハ 坂井
母マーブルカテドラルは現役時、17戦3勝(OP馬)。
主な勝ち鞍は、アルテミスS(重賞・芝1600m)
母母ヘルスウォールはチューリップ賞(当時G3・芝1600m)勝ち馬。
母系にあるエリシオは凱旋門賞やサンクルー大賞などG1を5勝した重厚なヨーロッパ血統。
その父Fairy Kingは名繁殖Specialの血を継ぐNureyevを内包し、この血を増強することで大物を輩出しやすい。
このことにより、本馬は中距離に適性が出ており、前走中山2200mを勝ってオープン入りを果たした。
中京は特に血統的にマイナス評価する理由もないですが、昇級初戦でメンバーレベルが格段に上がるのでここは上位陣に胸を借りるつもりで。
ディープモンスター
父ディープインパクト 団野
母シスタリーラヴはアメリカ産馬。現役時16戦7勝(海外)
主な勝鞍はダブルドッグデアS(G3・ダ1700m)とオリタリオメイトロンS(G3・AW1700m)
繁殖としてデビュー済み産駒は2頭。
いずれもディープインパクトと交配されており、初仔は中央未勝利(地方2勝)。
1つ上の全兄は新馬勝ちした後、毎日杯(G3)で3着に入着している。
母の最期のディープ産駒としてここで大物を輩出したいところ。
父ディープインパクトとDanzig系の組み合わせはサトノアレス(朝日杯FS)、ミッキーアイル(NHKマイルC、マイルチャンピオンS)、ダノンプレミアム(朝日杯FS)という上級マイラーを生み出す配合。
ただし、本馬は中距離として完成しています。
このあたりは母父Bellamy Roadが中距離馬だったのでそちらが強く出ていると見るべきでしょう。
ここで相性の良いディープインパクト産駒ですし、血統的に評価を下げる理由はないです。
バイオスパーク
父オルフェーヴル 森泰斗
父オルフェーヴルについてはこちらで解説しています。
母母ナナヨーストームは忘れな草賞(OP)勝ち馬。
父オルフェーヴルの大物輩出成功配合パターンは、母父フォーティナイナー系との組み合わせ。(エポカドーロ、ラッキーライラック)
そのフォーティナイナーの父親であるMr. Prospectorも相性良く、父産駒における成功しやすい血。
本馬の母父マイネルラヴもMr. Prospector系なのでこの傾向に合致。
6歳時には重賞戦線で戦っていましたが、7歳時の昨年はオープン戦が主戦場となりました。
明け8歳、久しぶりの重賞挑戦となりますがピークは過ぎています。
ハヤヤッコ
父キングカメハメハ 幸
母のマシュマロは12戦2勝(条件馬)。
母母シラユキヒメからはブチコ~ソダシ(桜花賞馬)へと繋がっている。
この馬も白毛一族らしくダートが主戦場。
オープンまで勝っており、日経賞(G2・芝2500m)でも5着と頑張った。
このあたりはさすが万能キンカメの血といったところか。
昨年函館記念で見事1着になった時に「この馬の立ち位置は見えた気がします。」と述べました。
ここも好走するには、馬場が重たくなることが前提条件でしょう。
フェーングロッテン
父ブラックタイド 松若
母ピクシーホロウは現役時、14戦3勝(条件馬)。
勝ち鞍は芝1500~1800m
繁殖としてスプリンターズSを勝ったピクシーナイト(父モーリス)を輩出している。
4代母にはアメリカ産馬でG1・ヴァニティH(ダート9F)を勝ったA Kiss for Luckがいる牝系。
父ブラックタイドは名馬ディープインパクトの全兄。代表産駒はG1・7勝のキタサンブラック。
そのキタサンブラックとはLyaphardのクロスに加えて、サクラバクシンオーの血を持つという共通点がある。
今年の始動戦となった前走中山金杯では「菊花賞から距離が得意レンジに戻ることはプラス。中山は初だが、血統的に苦手ではなさそう。」と考察し3着。
中京は実績もありますし、ここも好勝負必至でしょう。
プログノーシス
父ディープインパクト 川田
母ヴェルダはイギリス産馬で11戦2勝(海外)
繁殖としてOrpenとの間にイギリスG1・チヴァリーパークS(芝6F)勝ち馬のVordaを輩出している。
日本に輸入されてからも本馬を含み複数勝ち馬を2頭輩出しており、繁殖力はかなり高い。
日本でも重賞馬を出す可能性はかなり高いだろう。
3代母にはイタリアオークス、イタリア1000ギニー(共に当時G1)を勝ったVal d'Ericaがいる牝系。
母父Observatoryはアメリカ産馬で、クイーンエリザベスⅡ世S(イギリスG1・芝8F)とイスパーン賞(フランスG1・芝1850m)勝ち馬。
アメリカ産馬ながらヨーロッパのG1を制した血統的背景は、重厚なRobertoの血を内包している。
そのあたりが「ディープインパクト×米国血統」の早期完成のスタイルからややズレる形をとなっており、ここまで着実な成長を遂げてきた。
前走初の古馬重賞挑戦となった中日新聞杯では、出遅れながら最後に良い脚を使って4着。
出遅れ癖は気になるところですが、鞍上がある程度ポジションを取りにいってくれそうな川田騎手に代わることはプラスです。
血統的にもこの舞台に相性の良いディープインパクトですからもちろんマイナス評価する理由はありません。
ポタジェ
父ディープインパクト 岩田望
母ジンジャーパンチはアメリカG1を6勝した名牝。
母母ナッペロンも重賞勝ち馬というしっかりとした牝系になる。
半姉(父マンハッタンカフェ)のルージュバックは、毎日王冠を勝ったように東京芝1800mがベストな馬だった。
春の大阪杯の時には「上位安定で堅実な馬ですので、何かもうひと押し材料が揃えばさらなる上も狙える力はあるのですが。」と考察し、見事戴冠。
早めに位置を獲りに行ったことが功を奏しました。
その後は速い時計が求められるレースが続いており、出番がありません。
ここは少しタフさが求められそうなので、巻き返すチャンスがありそうです。
マリアエレーナ
父クロフネ 松山
母はアネモネS(OP)勝ち馬のテンダリーヴォイス。
母母ミスアンコールからはダービー馬のワグネリアンが出ている牝系。
父クロフネ×母父ディープインパクトの組み合わせとなるが、「ディープインパクト×クロフネ」というのは1つの成功パターンなので、この馬はそれをひっくり返した配合ということになる。
この馬の他にも何頭か複数勝ち馬を出しているのでこの「ひっくり返し配合」もまずまず好配合と言える。
配合的にはマイルあたりに適性が出そうに見受けられるが、中距離で出世してきたあたり、ディープインパクトが割と出ているかなといったところ。
であれば、ディープインパクトの血が活躍するこの舞台でも評価は高いです。
ヤマニンサルバム
父イスラボニータ 浜中
母ヤマニンエマイユは現役時、55戦6勝(OP馬)。
主な勝ち鞍は、オーロC(OP・芝1400m)
3代母にはアメリカ産馬で、アメリカG1・オークリーフS(ダート8.5F)勝ち馬のワンオブアクラインがいる牝系。
父イスラボニータは皐月賞馬で、古馬になってからは阪神C(G2・芝1400m)勝った。
本質的にはスピードタイプで、本馬も未勝利戦を1400m戦で勝ち上がった。
そこから母系の血が出てきたのか、中距離になってきている。
ここまでの勝ち鞍(4勝)は全て中京で、オープン入りした前々走の距離は2000mと、ここと同舞台でした。
メンバーレベルは1枚も2枚も上がりますが、得意舞台なので力がどこまで通用するか試すにはうってつけの条件と言えます。
ルビーカサブランカ
父キングカメハメハ 西村淳
母ムードインディゴは現役時、24戦3勝。
主な勝ち鞍は府中牝馬S(G2・芝1800m)
G1でも2着に入った実績を持つ(秋華賞)。
本馬の全兄に阪神大賞典を勝ったユーキャンスマイル。
「父キングカメハメハ×母父ダンスインザダーク」という組み合わせは、
天皇賞(秋)と宝塚記念を制したラブリーデイが同じ。
また、朝日チャレンジカップ(G3)等、重賞3勝を上げたショウリュウムーンも同じ組み合わせである。
5歳の昨年初めて重賞を制覇。
その後も重賞戦線で活躍した。
前走愛知杯ではスローな展開に恵まれず8着。
ペースが流れるようならチャンスはありそうです。
但し、ベスト舞台は阪神なので血統的にプラス評価はしません。
ワンダフルタウン
父ルーラーシップ 和田竜
父ルーラーシップについてはこちらで解説しています。
母シーオブラブは、現役時18戦1勝(地方)。
繁殖として本馬が初産駒。
血統背景は父ディープインパクト×母父Acatenangoの組み合わせ。
この組み合わせは菊花賞(G1)勝ち馬のワールドプレミアムが代表格で、3歳以上の組み合わせの数が15頭と少ないながらも12頭が勝ち上がっている好打率な配合。
この好配合の母に非サンデー系の父を迎えた形となる。
父ルーラーシップは非サンデーサイレンス系としてサンデーサイレンス系牝馬と交配できることが強み。
実際、産駒の活躍馬のほとんどが母父サンデーサイレンス系である。
母父ディープインパクトとの組み合わせでは、ここまで産駒唯一のG1馬キセキ(菊花賞)がいる。
つまり本馬はキセキと3/4同血配合で、母がワールドプレミアムと3/4同血配合。
ということで血統的には長距離適性が高い。
ここも「距離延長まで待ち」という評価にしておきます。
以上、全12頭の血統解説でした。
血統表:(C)netkeiba.com
金鯱賞穴馬血統
直近5年で上位人気での決着となったのは2022年と2019年の2年。
一方、2021年は1着ギベオン(10番人気)、3着ポタジェ(6番人気)
2020年は2着サトノソルタス(8番人気)、3着ダイワキャグニー(6番人気)
2018年2着サトノノブレス(8番人気)と人気薄(6番人気以降)の出番がまずまずあるレースと言えます。
今述べた人気薄で馬券になった5頭のうちの4頭(ギベオン、ポタジェ、サトノソルタス、サトノノブレス)はディープインパクト産駒。
血統傾向でもディープインパクトが良いと述べましたが、同産駒は人気に関わらず、狙える種牡馬であることがわかりますね。
ディープインパクト以外で人気薄で馬券になった最後の1頭はダイワキャグニー(6番人気)
ダイワキャグニーはBuckpasserの血を持っていました。
このBuckpasserの血は先ほど挙げた人気薄のディープインパクトのうちギベオンとサトノソルタスも持っていたので、人気薄で馬券になった全5頭のうち3頭に該当するということで注目しておきたいところです。
今年の出走馬で該当馬は・・・
バイオスパーク(12番人気想定)
となります。
以上、金鯱賞の血統についてでした。
2023.3.10 post