血統調査員のYRAです。
「血統表は競走馬の設計図!」ということで。
今週土曜日は牝馬クラシックの前哨戦
チューリップ賞(G2)です。
血統傾向についてはこちらで解説しています。
それでは今週も
全頭血統考察スタート!
目次
【チューリップ賞(GⅡ)全頭血統考察】
1枠1番ピンハイ
父ミッキーアイル 高倉
3代母にクイーンC(G3・芝1600m)3着のタックスヘイブン。
父ミッキーアイルはディープインパクトのマイラー仕様産駒で、現役時にはNHKマイルCとマイルチャンピオンシップを制覇。
本馬はそこに母母父フジキセキ。フジキセキはサンデー直仔なので、サンデーサイレンスのクロスが成立する。
これは昨年本レースを制したメイケイエールと同じ。
ミッキーアイルはもともと自身の癇性の強さを伝えやすく、そこにサンデーのクロスは火に油。
本馬もそれに倣うかのように出遅れ・・・。
それでも勝ちきるところに爆発力を感じますが、なんとも馬券的には買い辛いタイプです。
2枠2番ジャマン
父リオンディーズ 松山
父リオンディーズは名牝シーザリオの息子で、エピファネイアの半弟。
サンデーサイレンスのクロスが成功パターンで、本馬も母父がサンデー直仔のアグネスタキオン。
デビュー戦(1600m)1着、2戦目(2000m)5着でいずれも逃げの展開。
メンバー構成を見てもおそらく今回も逃げるのはこの馬だろう。
あんまりほっとかれ過ぎると残る可能性もありそうです。
2枠3番サークルオブライフ
父エピファネイア Mデムーロ
父エピファネイアについてはこちらをご覧下さい。
母シーブリーズライフはクロッカスS(OP・芝1400m)勝ち馬。
母父アドマイヤジャパンは現役時、皐月賞でディープインパクトの3着、菊花賞で同2着だった。
その父がサンデーサイレンスなので、エピファネイア産駒の活躍条件の1つであるサンデーのクロス3×4が成立している。
母母父がタイキシャトルでスピードはここから。
阪神JFの時に「前走のアルテミスS(G3)でマイル適性は実証済みだが、このような血統構成なので本質的にはもう1F伸びても大丈夫そうだ。」と考察し、見事2歳女王の座につきました。
同条件のここももちろん中心視です。
3枠4番アンジェリーナ
父レッドスパーダ 横山典
3代母にアメリカ重賞(ダート9.5F)勝ち馬のトリプルフウがいる牝系。
父レッドスパーダはスプリント~マイルで無類の強さを誇ったタイキシャトルの直仔。
自身はG1を勝てなかったが、1400mと1600mの重賞を勝っている。
種牡馬としても素直にその能力を伝えるケースが多い。
血統的にはStorm Catの血を内包するのでサンデー系の血と交配することで成功確率が高まる。
本馬は母母にフジキセキ(サンデー直仔)を内包するのでこのパターンに合致。
勝ち上がりまでに7戦を要してここへ。
さすがに即通用とはなりそうにありませんが・・・。
3枠5番スプリットザシー
父ディープインパクト 団野
母ランドオーバーシードはアメリカ産馬でアメリカ重賞(ダ8.5F)勝ち馬。
父ディープインパクト×母父Bellamy Roadの組み合わせは、ディープモンスター(すみれS(L))と同じ。
Bellamy Roadは大系統ノーザンダンサー系のDanzig系。
ディープとこのDanzig系の組み合わせは、サトノアレス(朝日杯FS)、ミッキーアイル(NHKマイルC、マイルチャンピオンS)、ダノンプレミアム(朝日杯FS)という上級マイラーを生み出す配合。
ということで2戦目でのG1ながらマイル戦のここで割り引く理由はない。
4枠6番ナミュール
父ハービンジャー 横山武
父ハービンジャーについてはこちらで解説しています。
母サンブルエミューズはフェアリーS(G3)3着で、3代母キョウエイマーチは桜花賞馬という牝系。
半兄(父ノヴェリスト)にオープン馬ヴェスターヴァルトがいる。
父ハービンジャー×母系フレンチデピュティ系の組み合わせは、ノームコア(香港C、ヴィクトリアマイル)やサトノアリシア(コスモス賞(OP・芝1800m))などが出ている。
そこに本馬の場合は母父ダイワメジャーなので、この時期のマイル適性はかなり高い。
無敗で挑んだ前走の阪神JFでは1番人気に支持されながらも大きく出遅れたことが最後まで響いて4着。
それでも上がり最速はやはり能力の高さの証明。
ゲート改善されているなら実力はやはり上位でしょう。
4枠7番ルピナスリード
父ダイワメジャー 池添
父ダイワメジャーについてはこちらで解説しています。
母母Promising Leadはイギリス産馬で、アイルランドプリティポリーS(アイルランドG1・芝10F)勝ち馬。
また5代母SookeraはチヴァリーパークS(イギリスG1・芝6F)がいるというしっかりとした牝系。
父ダイワメジャーに母父Sadler’s Wells系の組み合わせは、メジャーエンブレム(NHKマイルC、阪神JF)と同じ。
また、このメジャーエンブレムとは母方にDanzigを持つ点でも合致している。
父ダイワメジャーは2~3歳戦に強い種牡馬。
前走エルフィンS(L)は出遅れて4着。力はあるし相手なりに走るタイプに見えます。
阪神も良いですし、軽視し過ぎは良くないかもしれません。
5枠8番サウンドビバーチェ
父ドゥラメンテ 石橋脩
母スクービドゥーはイタリア重賞(芝1600m)勝ち馬。
父ドゥラメンテはキングカメハメハにサンデーサイレンス、さらに牝系はエアグルーヴという超良血。
種牡馬として良いスタートを切ったばかりの昨年(2021年)、まさかの死去。
これからの期待を大いに背負っていただけに惜しまれる。
ドゥラメンテ×母系デインヒルの組み合わせは初年度産駒にオープン馬アスコルターレを出しているので相性が良さそう。
本馬も母母父にデインヒルなのでこれと合致している。
これまでのドゥラメンテ産駒の牝馬らしく、1600mで2勝。
きちんと1勝クラスをクリアしてきているので、ここで本番の切符をつかんでも驚きはないです。
5枠9番ウォーターナビレラ
父シルバーステート 武豊
父シルバーステートは今年の新種牡馬でディープインパクト直仔。
現役時は5戦4勝。現役時はケガとの戦いで、4連勝した1600万下のあと再び屈腱炎を発症し、引退。
重賞勝ちは無かったものの主戦を務めた福永騎手がデビュー前から「ダービーを狙える」と絶賛していた程の能力の持ち主だった。
重厚なRobertoの血を内包するので、アメリカ型のスピードの血を配合することが良さそう。
本馬は母父にキングヘイロー(高松宮記念)との組み合わせでスピードを補完している。
このキングヘイローの父父Lyphardはディープインパクト配合で相性の良い血。
また本馬が持つBlusing Groomも同じくディープインパクトと相性の良い血。
こうして見ていくと種牡馬シルバーステートは他のディープ系種牡馬同様、父ディープと相性が良かった血をそのまま持ってくることで成功しやすいタイプと言えそうだ。
前走阪神JF時には「デビューから3連勝とまだ底を見せていないし、鞍上は天才武豊。ここを制して来年のクラシックの主役に躍り出れば盛り上がること必至。」と考察し、結果は3着と格好はつけた。
クラシックに向けて始動戦でどんなパフォーマンスを見せてくれるか楽しみです。
6枠10番ラリュエル
父ディープインパクト 川田
母カウアイレーンは現役時18戦5勝(OP馬)。
母母シルバーレーンはフランス重賞勝ち馬で、アイルランドオークス3着。
半兄(父ステイゴールド)は先日のサウジアラビアでレッドシーターフH(G3)を勝ったステイフーリッシュ。
父ディープインパクト×母父キングカメハメハはダービー馬ワグネリアン、秋華賞馬のアカイトリノムスメと同じ。
血統傾向の記事でも書いたようにこのレースはディープインパクト産駒の相性が良い。
配合も上述したように牡牝3歳G1馬を輩出。
ということで血統的にはバッチリなのですが、正直ここは回避すると思っていました。
(その為、YouTubeでは触れていません。)
6枠11番ルージュスティリア
父ディープインパクト 岩田望
↓本馬についてはデビュー前に血統注目馬として下記の通り取り上げました↓
『母母にアメリカの芝9Fと10FのG1を3勝したチャンピオンホースWandestaがいる牝系。
ディープインパクト産駒で完成度を早めるには母にノーザンダンサーのクロスを持つことがセオリー。
父×母父Storm Cat系の組み合わせはスーパー黄金配合。
G1馬だけで、キズナ(日本ダービー)、エイシンヒカリ(イスパーン賞(仏G1)、香港C(香港G1))、リアルスティール(ドバイターフ(ドバイG1))、サトノアラジン(安田記念)、ラキシス(エリザベス女王杯)、アユサン(桜花賞)、Study of Man(ジョッキークラブ賞(仏G1))、ラヴズオンリーユー(オークス)がいる。
Blushing Groomを持つ馬との配合も相性良く、ミッキークイーン(オークス、秋華賞)、マカヒキ(日本ダービー)、Beauty Parlour(フランス1000ギニー)等、国内外に活躍馬が多数。
このように父ディープインパクトおける成功ポイントをおさえた配合で、厩舎は今年のダービーを制した藤原英厩舎。
今年はこのディープインパクト産駒で牝馬戦線を暴れる算段だ。』
↑デビュー戦で勝ち上がって以来5ヶ月ぶりのレース。
ここでどのようなレースができるのか、血統的には楽しみが大きいです。
7枠12番シークルーズ
父モーリス 三浦
母ベストクルーズは現役時、阪神JFで3着。
父モーリスは種牡馬としてこの世代で2世代目。
現役時、名マイラーでならしたが、血統背景に重厚な血を抱えることから種牡馬としては主流のサンデー系種牡馬と比べるとどうしてもキレ味が劣る。
阪神JFでは大敗を喫しましたが、自己条件の前走ではきっちり勝ち上がり。
再びの距離延長がプラスに働くとは思えませんが、ここを乗り越えないとクラシックの舞台は見えてきません。
7枠13番ツッチーフェイス
父ハービンジャー 小沢
父ハービンジャーについてはこちらで解説しています。
3代母Hometown Queenはケンタッキーオークス(アメリカG1)2着に入着。
5代母にはエイコーンS(アメリカG1・ダート8F)、マザーグースS(アメリカG1・9F)、CCAオークス(アメリカG1・ダート12F)を勝ったChris Evertがいる牝系。
父ハービンジャーはヨーロッパ血統なので配合の基本はサンデーサイレンス肌馬と。
本馬の母父スペシャルウィークはサンデーサイレンス直仔のダービー馬。
典型的な中距離×中距離の配合なので距離短縮のここは好材料とは言えない。
馬場が渋るようだと浮上の目が出てきそうです。
8枠14番ステルナティーア
父ロードカナロア 福永
父ロードカナロアについての詳細はこちらをご覧下さい。
G1馬ステルヴィオ(マイルCS)の全妹。
ステルヴィオはロードカナロアの大物輩出パターンであるSpecial牝系のクロス(Nureyev≒Fairy King)持ち。
その兄ちゃん同様に本馬も前走サウジアラビアRCに出走し2着。
ステルヴィオが負けた相手は朝日杯FS(G1)でも後塵を拝することになるダノンプレミアムだった。
本馬は牝馬でアルテミスSで負けた相手は牡馬。
ということで前走の阪神JF時には「ここに牡馬は出走してこないので兄とは違った結果が見られるか?!」と考察したのですが、結果は案外の7着。
その一戦で見限りたくはないですが、調教状況と減った馬体がどこまで戻っているか注目したいです。
8枠15番オーソレミオ
父ディープインパクト 横山和
3代母Dietrichはイギリスの重賞勝ち馬(芝5F)
また5代母にはアイルランドG1・フィーニクスS(芝6F)を勝ったAvianceがいる牝系。
父ディープにStorm Catの血を持ってくる組み合わせはスーパーニックス。
G1馬だけで、キズナ(日本ダービー)、エイシンヒカリ(イスパーン賞(仏G1)、香港C(香港G1))、リアルスティール(ドバイターフ(ドバイG1))、サトノアラジン(安田記念)、ラキシス(エリザベス女王杯)、アユサン(桜花賞)、Study of Man(ジョッキークラブ賞(仏G1))、ラヴズオンリーユー(オークス)がいる。
また母父にSadler’s Wells系の血を持つのはオークス馬シンハライトと同じとなる。
このように母方にヨーロッパの名血とアメリカの主流血統が内包されており、そこに日本の主流サンデー系ディープインパクトを配した形。
デビュー戦はウォーターナビレラ(阪神JF3着)の後塵を拝したが、休み明けの2戦目はきっちりと快勝。
本質的にはもう少しゆったりとした距離が良さそうですが、血統的にはここでも通用して欲しいと思っています。
以上、全15頭血統考察でした。
【YRAとみっちゃんの予想対談】
↑みっちゃん復活しました!是非みて下さい(^_^)v
2022.3.3 post