血統調査員のYRAです。
「血統表は競走馬の設計図!」ということで。
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今週は阪神JFの前哨戦、
アルテミスステークス(東京芝1600m)が行われます。
血統から紐解いてみましょう!
目次
【アルテミスS(G3・東京芝1600m)全頭血統考察】
アリスヴェリテ
父キズナ 田辺
父キズナについてはこちらで解説しています。
母ルミエールヴェリテは現役時、未勝利。
繁殖としてコーラルS(L・ダート1400m)勝ち馬のリアンヴェリテや、北海道2歳優駿(G3・ダート1800m)勝ち馬のキメラヴェリテを輩出している。
3代母にアメリカ重賞(ダート8.5F)勝ち馬のPantuflaがいる牝系
父キズナはディープインパクトにパワーを足したような配合なので、ダートも走れる産駒を出す。
本馬の全兄キメラヴェリテはまさにその典型で2歳ダート重賞を勝ちながらクラシック戦線を戦った。
本馬はここまで芝で新馬戦1着→オープン2着と力を示している。
血統を思えば渋った馬場の方が他よりも優位に運べそうだ。
コウセイマリア
父リアルスティール 佐々木
母アズマガールは現役時、未勝利。
父リアルスティールは「ディープ×Storm Cat」でG1馬多数を輩出した黄金配合。
種牡馬としてこの世代が初年度産駒となるのでどのような仔を出すのか非常に楽しみ。
母母にあるMonevassiaはKingmamboの全妹。
本馬には母父キンカメ~Kingmamboの血が入っているので、この血のクロス3×3
ということになる。
さらには母母父にサンデーサイレンスなので、この血のクロスも3×3。
ということで主流血統2つの強いクロスがあるというなかなかに意欲的な配合馬。
不良馬場のデビュー戦を出遅れながら勝ちきったのは適性の高さによる。
良馬場でどのようなパフォーマンスができるのかここが試金石。
ディナトセレーネ
父レッドファルクス 横山武
母ダイワミランダは現役時、14戦2勝。
勝ち鞍は芝1600~1800m
繁殖として本馬が2番仔。
父ロードカナロアとの初仔は2勝をあげている。
母母ダイワスカーレットはG1を4勝した名牝。
父レッドファルクスはスプリンターズSを連覇し、ダートでも勝ち鞍を挙げた芝ダート兼用馬。
種牡馬としても芝ダート様々な適性を伝えそうだが、この馬は母系が完全に芝馬で、良馬場の新馬戦を4着して不良馬場の2戦目で勝ち上がった。
父が上述したような種牡馬なので、馬場が重くなる方が走りやすいのだろう。
デインバランス
父エピファネイア 戸崎
母ナッシングバットドリームスはイギリス産馬で不出走。
繁殖として日本に輸入され、本馬が2番仔。
初仔はジャスタウェイとの交配で今年のオークスで6着となったルージュエヴァイユ。
母母デインドリームは凱旋門賞を始めG1を5勝挙げた名牝。
また5代母にもフランスG1・ロイヤルオーク賞(芝3100m)勝ち馬のLady Berryがいる牝系。
父エピファネイアは三冠牝馬デアリングタクトやエフフォーリアを輩出し、クラシック期に強い種牡馬。
基本晩成型のジャスタウェイ産駒である半姉でもクラシックに間に合ったので、そこからエピファネイアに変わることは楽しみが大きい。
母父がFrankelということでSadler’s Wellsのクロスを持つ。これはエピファネイア配合にておいて成功確率を高める。
ただ、エピファネイア配合の大正義であるサンデーのクロスが無いのがどう出るか。
スピードの補完がデインヒルのクロスによってできている可能性もあるので、そうなると夢が見られる。
デビュー戦は内をついて1着。
早い時期に定評があるエピファネイアなのでここも楽しみ。
ニシノコウフク
父サトノクラウン 三浦
母ニシノマメフクは現役時未勝利。
5代母にフランス重賞(芝1600m)勝ち馬のEdinburghがいる牝系。
父サトノクラウンは非サンデー系で香港ヴァーズと宝塚記念を勝った今年の新種牡馬。
母父スペシャルウィークはサンデー系ダービー馬。
先述したようにサトノクラウンが非サンデー系なのでセオリー通りの交配といえる。
中距離×中距離の配合なのでオークスの舞台で見たい。
デビュー戦は先団から抜け出して1着。
サトノクラウンの初年度産駒として初重賞でどの程度やれるか楽しみ。
マスキュリン
父ワンアンドオンリー 石橋脩
母エミナは現役時、21戦3勝(条件馬)。
勝ち鞍は芝1200~1400m
繁殖としてオープン馬アンゲネームを始め、勝ち上がり馬は多い。
母母Delilahはアイルランド産馬で、芝11F~14.5Fの重賞を3勝した。
父ワンアンドオンリーはハーツクライ産駒のダービー馬。
種牡馬としてこの世代が2世代目。
晩成ハーツクライにDanzigの血を入れて早期始動をした。
種牡馬としてはさらなるスピードを取り入れていくことが良さそう。
本馬は「Danzigのクロス+Storm Bird」なのでスピードの補完は高い。
1800mの新馬戦を勝ったあと1600mの1勝クラスを4着。
距離は延びた方が良いタイプか。中山から東京に変わるのはプラス。
マラキナイア
父ジャスタウェイ 松山
母カウアイレーンはオープン馬で、クイーンS(G3・芝1800m)3着に入着。
繁殖としてドバイゴールドC(G2・芝3200m)を勝ったステイフーリッシュ(父ステイゴールド)を出している。
母母シルバーレーンはフランス重賞勝ち馬でアイルランドオークス3着馬。
父ジャスタウェイは中距離G1を3勝。
種牡馬としては母父キングカメハメハとの組み合わせでアウィルアウェイ(G3・芝1200m)を出している。
重厚な牝系なので成長と共に距離を伸ばしていきそう。
デビュー戦は先団から直線力強く抜け出して優勝。
2戦目のここも楽しみだが、血統的に本格化はもっと先になりそう。
ミシシッピテソーロ
父ダノンバラード 木幡巧
母ハピネスフォーユーは現役時、15戦1勝。
勝ち鞍はダート1400m
半姉(父ステイゴールド)ミエノサクシードはG3・関屋記念2着。
5代母にはアイルランド1000ギニー(芝8F)を勝ったGailyがいる牝系。
父ダノンバラードはディープインパクト直仔でAJCC勝ち馬。
ディープインパクトと相性の良かった血との交配は相性が良く、本馬の母系にあるDanzigはオープン馬モンブランテソーロと同じ。
新馬戦→オープン戦を連勝してここへ。
新馬戦がここと同じ舞台だったし、ここも楽しみ。
ラヴェル
父キタサンブラック 坂井
母サンブルエミューズはフェアリーS(G3)3着で、3代母キョウエイマーチは桜花賞馬という牝系。
半兄(父ノヴェリスト)にオープン馬ヴェスターヴァルト、半姉(父ハービンジャー)にチューリップ賞(G3)勝ち馬でオークス3着のナミュールがいる。
父キタサンブラックは現役時、古馬G1を7勝した国民の愛馬。
その父ブラックタイドは名馬ディープインパクトの全兄という血統。
種牡馬としては2世代目となる。
ここまでの傾向としてはダンシングブレーヴと相性が良さそうで東スポ杯(G2)を勝ち皐月賞とダービーで2着となったイクイノックスやフェアリーS(G3)で3着になったビジュノワールが同じ。
これはダンシングブレーヴの父Lyphardの血が合っているのではないかと推察している。
(Lyphardはディープインパクト配合において相性が良い血)
父キタサンブラックは自身が古馬になって本格化したように成長力があるので、本馬にもデビュー戦から着実な成長力を見せて欲しい。
デビュー戦は出遅れながらも抜け出して優勝。
この中間でちょっと折り合いに課題が出てきているので、距離短縮は良さそう。
ここを勝って半姉ナミュール同様に阪神JFに挑みたい。
リバティアイランド
父ドゥラメンテ 川田
母ヤンキーローズはオーストラリア産馬で現役時10戦4勝。
主な勝ち鞍はスプリングチャンピオンS(G1・芝2000m)とサイアーズプロデュースS(G1・芝1400m)。
現役引退後、日本に輸入され繁殖となった。
本馬は2番仔。1つ上の半姉(父ディープインパクト)は勝ち上がっている。
4代母にはヨークシャーオークス(イギリスG1・芝12F)勝ち馬のCondessaがいる牝系。
父ドゥラメンテはキンカメ×アドマイヤグルーヴという良血種牡馬で、初年度産駒から菊花賞馬タイトルホルダーを輩出し、2年目にも桜花賞とオークスを勝ったスターズオンアースを出した。
適性距離の守備範囲は広く、牝馬でも昨年のスターズオンアースのようにオークスを勝てるスタミナを持つ。
同じキンカメ系種牡馬であるロードカナロアは名牝Sex Appealの血を増強することでアーモンドアイを輩出。
本馬もこれと合致しており、ドゥラメンテでもこの成功配合パターンは有効なのか楽しみ。
もちろんクラシックを狙いたい一頭。
新馬戦出遅れながら、圧巻のパフォーマンスで優勝。
2戦目のここにかかる期待ももちろん大きいです。
血統表:(c)netkeiba.com
以上、全10頭の血統考察でした。
馬券について
サウジアラビアRCの時は一番人気を疑ってかかりましたが、これは父がモーリス産駒だった為。
今回の一番人気馬リバティアイランドは2歳戦から強いドゥラメンテ産駒なので中心視して良いと思っています。
2番人気想定のラヴェルはキタサンブラック産駒ということで奥手がありそうなので軽視したいところですが、半姉がナミュール。
ハービンジャー産駒ながら2歳から活躍したことを思えばダイワメジャー由来の母系の血が産駒に早期始動の効果をもたらしているのでしょう。
その他、上位人気組も血統的になかなか逆らいにくいメンバー構成です。
ということで悩ましい割に配当がつきそうにもないのでここは大人しくケンしようと思います。
なんかすいません(苦笑)
当日は我がPOG大会で指名が入っている馬達を応援することとします。
2022.10.27 post
天皇賞・秋についての解説はこちらから