血統調査員のYRAです。
「血統表は競走馬の設計図!」ということで。
今週は春の飛躍を誓う古馬たちの戦い
中山記念(G2)です。
血統傾向についてはこちらで解説しています。
それでは今週も
全頭血統考察スタート!
目次
【中山記念(GⅡ)全頭血統考察】
1枠1番ソッサスブレイ
父コンデュイット 柴田大
1枠2番トーラスジェミニ
父キングズベスト 西村淳
主な勝鞍はイギリス2000ギニー(イギリスG1・芝8F)
半姉に凱旋門賞を制したアーバンシーがいる血統で、父系はMr. Prospector~ネイティブダンサー系という系統。
日本では2010年のダービー馬エイシンフラッシュが代表産駒。
父キングズベスト×母父マンハッタンカフェの組み合わせは、サンプル数自体が少ないが、本馬の他にも複数勝ち馬を輩出している配合。キングズベスト産駒は、スピードの持続力を引き継ぎ、逃げるスタイルが合う馬が多いです。
本馬は現役の中ではその筆頭ともいえる存在。その脚質ゆえ常に上位争いを求めることは難しく、展開などハマった時に馬券になるタイプと言えます。
いつ来るかは読めないのですが、こういう馬はマークが甘くなった時こそ。
ただ、今回は同型がいるのでまずはハナ争いがどうなるか。
2枠3番ガロアクリーク
父キンシャサノキセキ 田辺
父キンシャサノキセキについてはこちらで解説しています。
父キンシャサノキセキ×母父Kingmamboの組み合わせは、阪神C(G2)と小倉2歳S(G3)を制したシュウジと同じ。
シュウジとはLyphardのクロスも合致しており、他にも米国系の母など何かと共通点が多い。
スピード型父に米国スピード型母を交配し、短距離馬を輩出した形だが、本馬の場合は母母母Riviere D’orがフランスオークス(芝2100m)やサンタラリ賞(芝2000m)勝ち馬で、さらにその母Gold River(フランス馬)は凱旋門賞を制覇している名牝系。
ここまで見る限り牝系の適性が濃く受け継がれている格好。
全体的にキンシャサノキセキ産駒は中山が得意で、本馬も皐月賞で3着に入着。
脚元の不安は解消されてきたようですが、まずは使ってからとなりそうです。
2枠4番ヒュミドール
父オルフェーヴル Mデムーロ
父オルフェーヴルについてはこちらで解説しています。
母母に桜花賞馬キストゥヘヴンがいる牝系。
ノーザンテーストのクロスを持つ父オルフェーヴルにさらに母系にノーザンテーストを重ねており、さらにサンデーサイレンスの3×3クロスというなかなか挑戦的な配合。
クロス過多により気性難があり、3歳時に虚勢された。
能力は水準以上でその後はオープンまで出世。
前走福島記念(G3)で2着するなど、重賞制覇まであと一歩のところまで迫っている。
血統的には本レースの馬券圏内に度々入着馬を送り出してきたステイゴールド系なので、ここで割り引く必要は無さそうです。
3枠5番パランサラッサ
父ロードカナロア 吉田豊
父ロードカナロアについてはこちらで解説しています。
こちらでも述べたように、父ロードカナロアは自身が持つNureyevの血を増強することで大物を輩出しやすくなる。
本馬が母方に持つ3/4同血のSadler’s WellsはホープフルSと皐月賞を制したサートゥルナーリアと同じ。
はっきりした脚質で前走有馬記念も逃げました。
昨年の本レースは出遅れから見せ場はありませんでしたが、もともと血統的にはここは合う舞台です。
3枠6番レッドサイオン
父ロードカナロア 木幡育
父ロードカナロアについてはこちらで解説しています。
父ロードカナロア×母父アグネスタキオンの組み合わせはオープン馬サトノウィザードと同じ。
本馬は中山マイルでオープン入りを果たした後、オープンクラスでは低迷が続いており、一時は障害競走を走っていたことも。
なかなかベスト条件が見つからないまま6歳となった。
ということはやはり頭打ちと言わざるを得ない。
距離短縮はプラスになりそうですが・・・。
4枠7番ウインイクシード
父マンハッタンカフェ 松岡
父マンハッタンカフェはその父サンデーサイレンスに母系ヨーロッパ血統というスタミナ配合で菊花賞、有馬記念、天皇賞・春を制した。
その為、種牡馬としてはスピード血統を持ってくることが必須。
本馬の母父ボストンハーバーはアメリカのスピード血統でBCジュベナイル(アメリカG1・ダート8.5F)勝ち馬。このような配合で本馬は中距離戦線で活躍。
特にこの中山の舞台は金杯で2019年2着、2020年3着と得意。
ですが今年の金杯は6着。明け8歳、さすがに衰えは隠せませんね。
4枠8番マルターズディオサ
父キズナ 戸崎圭
父キズナについてはこちらで解説しています。
母トップオブドーラは現役時3勝(条件馬)。
ダート短距離で活躍したようにスピード血脈が散りばめられた血統。
父キズナの配合を考える時、母方にある重め血統をいかに活かすかがテーマで、ディープインパクトから続くキレ味を引き出してけるかは、いかに上手くスピード血統を取り入れていけるかがポイントとなる。
その意味で母方のスピード血脈はうってつけで、本馬誕生に大きな役割を果たしたと推察できる。ここまでの戦歴からは完璧な前哨戦ホースだったのですが、近走はその前哨戦でも精彩を欠いています。
5枠9番ゴーフォザサミット
父ハーツクライ 北村宏
父ハーツクライについてはこちらで解説しています。
半兄(父マンハッタンカフェ)にショウナンマティ(大阪杯(当時G2))がいる。
父ハーツクライ×母方にStorm Catの組み合わせはヒシイグアス(中山記念(G2))、クラヴァシュドール(阪神JF(G1)3着)などと同じ。
また、ウインバリアシオン(日経賞(G2))とはStorm Catの父であるStorm Birdを持つことが共通項。
今回は虚勢明けの一戦。
このレースは昨年4着と相性の良い舞台なので、虚勢した効果が早速表れるか注目したいです。
5枠10番ルフトシュトローム
父キンシャサノキセキ 石橋脩
父キンシャサノキセキについてはこちらで解説しています。
母ハワイアンウインドは芝1800mで3勝(条件馬)。
3代母にはディープインパクトの母ウインドインハーヘアがいる牝系。
父キンシャサノキセキ×母父Kingmambo系の組み合わせは、阪神C(G2)と小倉2歳S(G3)を制したシュウジと、本レースに出走するガロアクリーク(スプリングS(G2))と同じ。
またこの2頭とはLyphardのクロスを持つことも同じ。デビューから1600m戦を3連勝で重賞を制覇しましたが、4歳時には低迷。
明け5歳ということで本来、ここからが一番脂の乗る時期なので、その始動戦で母系由来の距離延長に望みを託します。
全体的にキンシャサノキセキ産駒は中山が得意なので新味が出ることに期待したいですね。
6枠11番カラテ
父トゥザグローリー 菅原明
ここまでのトゥザグローリーの代表産駒は、産駒唯一のオープン入りとなっている本馬。
トゥザグローリーは「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」という日本の超王道配合馬でまさに「芝中距離はお任せあれ」といったところ。
そこへアメリカ配合の母(フレンチデピュティ×パラダイスクリーク)を持ってきた形。
フレンチデピュティはVice Regent系でパワー型のスピードタイプなので、父の芝中距離適性に母系のスピードを取り入れた配合。
それが本馬のマイラー適性を引き出している。
尚、この「父トゥザグローリー×母父フレンチデピュティ系」の組み合わせは本馬の他にここまで産駒で一番賞金を稼いでいるゲンパチルシファーも同じなので、相性が良い組み合わせと言える。今年の始動戦となったここと同じ中山でのオープン戦を制すると、前走東京新聞杯(G3)でも3着。
叩き良化型ですし、このレースに相性の良い「Mr. Prospector&ノーザンテースト」を持つ血統的後押しもあります。
ここも中心視で良いでしょう。馬場は重くなった方がベター。
6枠12番アドマイヤハダル
父ロードカナロア 横山武
ドナウデルタとは母にLyphardのクロスを持つことでも共通点がある。
ドナウデルタはそのような血統背景に+Danzigなのでよりスピード適性が勝っており、マイル~1400mの仕様に。
本馬の場合は、Danzigではなく、+トウショウボーイ(皐月賞とか有馬記念)なので中距離に出ている。このように中距離が走れるロードカナロアで、そういうタイプは得てして中山は得意。皐月賞4着と善戦している舞台ですし、今後に向けてここは試金石となりそうです。
7枠13番ワールドリバイバル
父エピファネイア 津村
父エピファネイアについてはこちらで解説しています。
母母母にアメリカの芝重賞馬がいるが、それよりもこの血統表からはなんといってもその母である「ウインドインハーヘア」であろう。
ウインドインハーヘアは言わずと知れたディープインパクトの母。
その偉大なる血がこの血統表にも顔を覗かせていることがこの牝系の底力の高さを示している。
父×母父アグネスタキオンは1つ上の世代のフェルミスフィア(2勝・現役)が同じでまずまず良好な組み合わせ。
ラジオNIKKEI賞は斤量に恵まれたこともあり2着と好走できましたが、G1の舞台ではまだまだ力不足ところを露呈してしまいました。
Storm Catのスピード血統が少し勝っているような印象があるので、距離短縮は良さそうです。
7枠14番コントラチェック
父ディープインパクト 丸山元気
半姉(父ゼンノロブロイ)に重賞を3勝したバウンスシャッセ。
その重賞3勝のうち2勝が中山芝1800mでのもの。本馬もその姉同様、フラワーCを始め、重賞を3勝。その全てが中山でのものである。
得意な舞台で、今週最終週となる藤沢和調教師に花を添えることができるか。
8枠15番ダノザキッド
父ジャスタウェイ 川田
父ジャスタウェイについてはこちらで解説しています。
母エピックラヴはフランス中距離重賞の勝ち馬。
母母母アルカンドはビヴァリーヒルズH(アメリカG1・芝9F)の勝ち馬。
ここまでのジャスタウェイ産駒の活躍馬は母系にNijinskyを持つという共通点がある。
また本馬の母父デインヒル系というのはこのレースに出走しているグラティアスも持っており、ハーツクライの完成を早めるのに一役買う。
ジャスタウェイはハーツクライ直仔なのでこの相性の良さは父から仔の代になっても引き継いでいると見るべきで、本馬も早期始動で2歳G1(ホープフルS)を制覇した。
気性難な点があるが、前走マイルチャンピオンシップで3着となっているようにまともなら実力は上位です。
パドックはしっかりチェックしたいですね。
8枠16番ワールドウインズ
父ルーラーシップ 田中勝
父ルーラーシップについてはこちらで解説しています。
母はヴィクトリアマイル(G1)勝ち馬のエイジアンウインズ。
父ルーラーシップ×母父フジキセキの組み合わせは、オープン馬ウラヌスチャーム(メトロポリタン(L))を始め複数勝ち馬を多く輩出している配合。
昨年オープン勝ちを収めた後は低迷中。
ただし、ルーラーシップ産駒は中山芝1800mの相性が良いので、初めての今回は一考の余地がありそうです。
以上、全16頭の血統考察でした。
https://yra-keiba-academy.com/mimily/mimily0226/
【YRAとみっちゃんの予想対談】
↑紅に染まったこのわしを慰めるやつはもういない・・・
これまで1人YouTubeにお付き合い頂きましてありがとうでした。
今回で最終回です。見てね!
2022.2.25 post
【本命確定!】
⑤パンサラッサ
⑫アドマイヤハダル
2022.2.27 post
↑Mikiさんの夢馬券はこちら
血統はNever BendやSadler’s Wellsといった重たい血を内包するのでとにかく母方に軽い血を持ってくるのが鉄則。
となれば、やっぱり第一はもちろんサンデーサイレンスとなる。現役引退後に日本で種牡馬入りしたが、平地での活躍馬を出すことはできていない。しかし障害馬で活躍馬を出したことが評価されて、2015年生まれ故郷のアイルランドに帰っていった。
尚、アイルランドでは障害専門の種牡馬となっている(2020年死去)。
オープンクラスではそこそこ頑張っていますが、重賞の壁は高いですね。