血統調査員のYRAです。
「血統表は競走馬の設計図!」ということで。
今年も有馬記念が終わりました。
が!
2021年の競馬はまだまだ終わりません。
ラストは来年への思いを込める2歳G1、
ホープフルステークスです。
まずは2歳戦の記事から目を通して下さい。
それでは
ホープフルステークスの血統分析スタート!
目次
【ホープフルS過去血統】
□DとNの血
2020年(良)
1、ジャスタウェイ D
2、エピファネイア
3、ディープインパクト N
2019年(良)
1、ディープインパクト
2、ドリームジャーニー
3、ハーツクライ D、N
2018年(良)
1、ロードカナロア N
2、ジャスタウェイ N
3、ハービンジャー D
2017年(良)
1、ハーツクライ
2、Kitten’s Joy D
3、ステイゴールド
G1昇格後の過去4年から挙げられるポイント血統は「Danzig」と「Nijinsky」
Danzigは過去4年全てで馬券になっており、Nijinskyは近3年連続で馬券圏内に入着しています。
Danzigはパワー型でスピードの持続力に長けた血。
Nijinskyはパワー型でスタミナの持続力に長けた血。
年により、よりスピードが求められるか、スタミナが求められるかの違いはありますが、いずれにしても暮れの中山ということでパワー型の血が求められる傾向にあるのです。
【出走予定該当馬】
Danzig内包馬
クラウンドマジック、グランドライン、シェルビーズアイ、マテンロウレオ
Nijinskyy内包馬
アケルナルスター
【ホープフルS(GⅠ)全頭血統考察】
1枠1番シェルビーズアイ
父ハービンジャー 松田
5代母にアイルランド1000ギニー(アイルランドG1・芝8F)勝ち馬のArctique Royaleがいる牝系。
ハービンジャーが非サンデー系なので母父サンデーサイレンス系との配合は定番。
但し先述したように牝系がヨーロッパ系統なので配合面からはまだちょっと重さが拭えていない印象。
新馬勝ちしたが、完成まではまだかかりそうな血統だ。
2枠2番アケルナルスター
父トーセンラー 柴田大
5代母にフランスオークス馬Highclereがいる牝系。
父トーセンラーの代表勝ち鞍はマイルチャンピオンシップだが、天皇賞・春(芝3200m)でも2着と本当に幅広い距離で活躍した。
これはディープインパクト×Sadler’s Wellsによるもの。
種牡馬となっても産駒にその多様性は受け継がれている。
Mr. ProspectorのクロスはエプソムC(G3)勝ち馬のザダルと同じで、他にもグルアーブ(3勝・現役)などといった複数勝ち馬を輩出している。
ということで距離は問題ないが、コースは前走東京が合っている印象で中山変わりでプラスになるポイントは無さそう。
2枠3番ラーグルフ
父モーリス 丸田
父モーリスはサンデーサイレンスを内包する非主流血統。
その為、様々なタイプと交配できることに種牡馬としての強みがある。
産駒初のG1馬はスプリンターズSのピクシーナイトだったが、述べたように様々なタイプと交配ができるので今後様々なタイプの産駒が出てくるだろう。
本馬はサンデーサイレンスのクロスにSadler’s Wells≒Fairy Kingのクロス、そしてRobertoのクロスなので中距離が合いそうで、前走は本舞台と同じオープンクラスを勝利。
ここはメンバーレベルが一気にあがるG1なので、出遅れは避けたい。
3枠4番グランドライン
父ドゥラメンテ 三浦
母母ロイヤルファンタジーはドイツセントレジャー(ドイツG2・芝2800m)勝ち馬。
牝系が重厚なドイツ血統なので日本では重たすぎて、母もその産駒たちも中央での勝ち上がりはこれまで出していなかった。
本馬はそんな血統背景の母系に決め手をプラスすべくドゥラメンテを注入。
そうして本馬は2戦目で見事勝ち上がることとなったわけだが、その後はやはり惜敗続き。
血統的観点では次の代でさらにサンデーの血を増強させてより日本に適応する配合を行いたいところ(余談ですね)。
惜敗続きならある程度はやれそうかもと思うのだが、新潟2歳Sでは世代上位のセリフォスに完敗しているのでG1のここでも善戦できるかと言われるとちょっと難しそう。
3枠5番キラーアビリティ
父ディープインパクト 横山武
母キラーグレイシスはアメリカ産馬で、ハリウッドスターレットS(アメリカG1・ダート8.5F)勝ち馬。
母父Congareeはアメリカ産馬でシガーマイルハンデキャップ(アメリカG1・ダート8F)連覇を始めG1を5勝。
血統ラインはBlushing Groom~Red God~ナスルーラ。
ディープインパクトにアメリカ型のスピード血統を持ってくる配合は早期始動の為の1つのセオリー。
またBlushing Groomとの組み合わせでは、ミッキークイーン(オークス、秋華賞)、マカヒキ(日本ダービー)、Beauty Parlour(フランス1000ギニー)等、国内外に活躍馬が多数いる。
このような配合なのでディープの典型的な中距離馬。
前走萩Sでは好スタートから控えて、直線では一時先頭に立ったものの最後はダノンスコーピオンにクビ差交わされて2着。
そのダノンスコーピオンが先日の朝日杯FSで3着だったということで本馬ももちろん世代上位の力は持っていると見て良い。
4枠6番コマンドライン
父ディープインパクト ルメール
本馬については今年のデビュー前血統注目馬にてトップバッターとして取り上げました↓
『父ディープインパクトは現役時代、7つのG1を制した「日本近代競馬の結晶」と言われる歴史的名馬。
種牡馬としても2012年から2020年現在まで9年連続で種牡馬ランク首位。
競走馬としても種牡馬としても日本競馬の代表的存在。
(2019年7月30日逝去)
母コンドコマンドはアメリカ産馬で現役時、8戦5勝。
主な勝鞍はスピナウェイS(アメリカG1・ダート7F)
現役引退後、日本に輸入されて繁殖牝馬となった。
繁殖としてデビュー済み産駒は2頭。
いずれもディープインパクトとの交配で勝ち上がりは1頭。
まだ大物は出していない。
血統背景は父Tiz Wonderful(その他系)と母父General Meeting(Seattle Slew~Bold Ruler~ナスルーラ系)の組み合わせ。
父ディープインパクトに短距離馬の母を持って来ることは父産駒における早期始動のセオリー。本馬も1番星を狙う。
父ディープインパクト×母系にStorm Catを持って来る組み合わせはスーパー黄金配合。
G1馬だけで、キズナ(日本ダービー)、エイシンヒカリ(イスパーン賞(仏G1)、香港C(香港G1))、リアルスティール(ドバイターフ(ドバイG1))、サトノアラジン(安田記念)、ラキシス(エリザベス女王杯)、アユサン(桜花賞)、Study of Man(ジョッキークラブ賞(仏G1))がいる。
全兄アルジャンナは新馬戦勝ちから、きさらぎ賞3着→毎日杯2着→ダービーへと駒を進めた(18着)。
全兄より早期始動となる本馬はさらなる高みを目指したいところだ。』
このように考察した通り、本馬は新馬勝ちから2戦目で挑んだ前走初重賞・サウジアラビアRC(G3)もクリア。
ここで勝つと来年主役としてクラシック戦線を歩める可能性が一気に高まるので楽しみに見守りたい。
4枠7番サトノヘリオス
父エピファネイア 岩田望
父エピファネイアはこちらで解説しています。
母エアマグラダは現役時、中央で9戦4勝(条件馬)
芝1600m~2000mの中距離で活躍した。
母母エアデジャヴーはクイーンS(G3・芝1800m)勝ち馬で、桜花賞3着、オークス2着、秋華賞3着というG1戦線でも活躍した馬。
このように中距離適性の牝系にタフなエピファネイアを持ってきた。
サンデーサイレンスのクロスはエピファネイア配合において重要なポイントの1つだが、本馬の場合は母父にサンデーがいるので2×4クロスというなかなか濃い血統。
ここまで見る限りは気の悪さは出ておらず、良い面を引き継いでいるように見えるのでここも期待したい。
5枠8番ジャスティンパレス
父ディープインパクト Cデムーロ
母パレスルーマーはアメリカ産馬。繁殖としてアメリカでPalace Malice(ベルモントS、メトロポリタンHとG1を2勝)を輩出した後、日本に輸入された。
日本ではオルフェーヴルとの間にオープン馬アイアンバローズを出している。
本馬はそこから父がディープインパクトに変わって、早期始動が可能に。
新馬戦、1勝クラスを連勝してここにやってきた。
前から運べるタイプなので中山でも問題なく立ち回ることができそうだ。
5枠9番ボーンディスウェイ
父ハーツクライ 石橋脩
母ウィンドハックはドイツ産馬で、イタリア1000ギニー(イタリアG2)勝ち馬。
父ハーツクライについてはこちらで解説しています。
ここでも述べたように父ハーツクライは基本晩成傾向。
そこに先述した重厚なヨーロッパ型の母を配合しているので、早くからクラシックでばりばり活躍している姿は想像し難い。
ただし、スタミナに富んだ血統構成なので、前走1勝クラスを逃げ切ったように中距離は合う。
6枠10番マテンロウレオ
父ハーツクライ 横山典
母サラトガヴィーナスは現役時、13戦3勝(条件馬)
ダート1000m~1200mの短距離で活躍した。
3代母にはアメリカでG1を11個も勝った名牝Lady's Secretがいる。
父ハーツクライについてはこちらで解説しています。
こちらでも述べたように父ハーツクライ×母父ブライアンズタイムの組み合わせは本レース勝ち馬のタイムフライヤーと同じ。
また、母系にDanzigの血を持ってくる配合は、サリオス(朝日杯FS(G1))、カテドラル(京成杯オータムH(G3))、グラティアス(京成杯(G3))といった早期から始動できるパターンに分類。
2戦目だが、ここも色気を持って見守りたい。
6枠11番クラウンドマジック
父エピファネイア 岩田康
父エピファネイアについてはこちらで解説しています。
母母ゴールデンジャックがサンスポ4歳牝馬特別(G2・現フローラS)勝ち馬。
父×母父ネオユニヴァース系の組み合わせはフェアリーS(G3・中山芝1600m)3着のベッラノーヴァと同じで、
母に「サンデー+Danzig」を持つ配合は紫苑S(G3)3着のシーズンズギフトと同じというなかなか見所のある配合。
本馬も野路菊S(OP)2着、萩S(L)3着と頑張っているが、前走萩Sは3着と言っても完敗で、ダノンスコーピオンとキラーアビリティにははっきりとした力差を見せつけられた。
G1の舞台で一変に期待するのはさすがに酷かも。
7枠12番オニャンコポン
父エイシンフラッシュ 菅原明
母母サプレザはアメリカ産馬で、サンチャリオットS(イギリスG1・芝8F)を3連覇した名牝。
母は未勝利だったが、半兄(父スウェプトオーヴァーボード)は2勝で本馬も2勝というかなり高い繁殖力。
父エイシンフラッシュは非サンデーサイレンス系種牡馬で日本ダービーと天皇賞・秋を制した。
ということで、配合の基本はサンデー系牝馬が中心で本馬も母父はサンデー系のヴィクトワールピサ。
さらにMr. Prospectorのクロスが4×5×4なので、ここからスピードを補完し、日本の馬場に適した産駒として出て、ここまで先行して2戦2勝。
個人的には本馬が重賞を制することになれば、今後の配合に大いに参考になるので注目している。
7枠13番フィデル
父ハーツクライ 川田
3代母にアメリカ重賞(ダート8.5F)勝ち馬のFancy Fredaがいる牝系。
父ハーツクライについてはこちらで解説しています。
ここでも述べたようにハーツクライは基本晩成傾向。
母方にアメリカ型のスピード血統Storm Catを持ってくるパターンは、ヒシイグアス(中山金杯(G3)、中山記念(G2))やクラヴァシュドール(阪神JF3着)といった馬を出しており早期始動に有効な血。
本馬も新馬勝ちから前走京都2歳S(G3)でも3着。
本当に良くなるのはまだ先になりそうだが、ここでも堅実に走りそう。
8枠14番タイラーテソーロ
父ゴールドシップ 内田博
母母Gypsy's Warningは南アフリカ産馬で、アメリカG1メートリアークS(芝8F)勝ち馬。
父ゴールドシップはHaloの血をクロスさせて俊敏さを増強させることが有効で、今年のオークス馬ユーバーレーベンを始め、札幌2歳S(G3)2着のサトノゴールドや京都新聞杯(G2)3着のマカオンドールなどが出ている。
本馬は母母父に一本Haloの血なのでこの傾向に合致している。
ゴールドシップ産駒の傾向から距離延長は問題ないが、2戦目で一気に強化されるメンバーを相手にどこまでやれるか。
8枠15番アスクワイルドモア
父キズナ 武豊
父キズナについてはこちらで解説しています。
↓本馬についてはデビュー前に下記のように考察しました。
『母ラセレシオンは現役時、7戦3勝(条件馬)。
繁殖として本馬が初仔。その為、繁殖力は未知。
血統背景は父ゼンノロブロイ(サンデーサイレンス系)×母父Candy Stripes(Blushing Groom~Red God~ナスルーラ系)の組み合わせ。
父キズナは名馬ディープインパクトの直仔。
ディープインパクトのニックス・Storm Catとの交配の代表格と言える。
後継種牡馬ということもあり、父と相性の良かった血を取り入れていくことが成功のセオリー。
Lyphardのクロスは今年の阪神大賞典(G2)を勝ち、天皇賞(春)で2着したディープボンドと同じで、ディープ系種牡馬と相性の良いクロス。
Blushing Groomとの組み合わせもチューリップ賞(G2)を勝ったマルターズディオサ、フェアリーS(G3)を勝ったファインルージュを輩出している。
このファインルージュとはサンデーサイレンスのクロスを持つことでも合致している。
このように本馬は祖父ディープインパクトから続く、この系統の成功ポイントの血を持ち合わせている配合で、クラシック戦線を賑わしてくれるのではないかと期待している。』
デビューから3戦で勝ち上がると、続く前走は札幌2歳S(G3)ではジオグリフの2着。
そのジオグリフは先日の朝日杯FSで出遅れて5着。
本馬はキズナ産駒なので洋芝からの馬場変わりはプラスになりそうだが、上述した札幌2歳Sではあまりにも負けすぎな感も。
以上、出走馬全15頭全頭血統考察でした。
↑Mimilyさん作の出走馬紹介動画↑
是非ご覧下さい。
2021.12.27 post
【本命確定!】
みっちゃん 有馬記念良かったね~♪
最後に本命もバッチリで感動した!
良い1年だったね?Yちゃん。
YRA 確かに有馬記念は良かったけど、まだ今年は終わってないんだ。
みっちゃん え(・∀・)
YRA 2021年のラストは「未来へ向けて羽ばたくG1、ホープフルステークス」です(^_^)v
みっちゃん やっぱやるんだ・・・。
YRA もちろん!
そこに競馬がある限り予想は終わらんのや!
みっちゃん 頑張ります(・∀・)
まずはボーンディスウェイ。
この馬中山得意だと思うんだよね。未勝利戦上がり最速だし。
YRA 中山も距離も合ってそうよね。
ただ、晩成ハーツクライに早期始動の血もなし。
2歳G1はちょっと厳しいかも。
みっちゃん 次はオニャンコポン!
YRA もしかして・・・?
みっちゃん いやいや、名前で適当に選んだわけじゃないよ?!
中山経験してるし、無敗だし。
菅原騎手以外の騎手だったら本命にしてたぐらい評価してる。
YRA 血統的には父エイシンフラッシュで決して2歳G1向きでは無いけど、そろそろエイシンフラッシュから大物欲しいし、この馬はこれまでの産駒とは違う感じもするけん期待したいね。
みっちゃん 本命はジャスティンパレスにします。
調教走ってるし、無敗だし、枠良いし、クリスチャンだし。
間違いなくこいつです(・∀・)
YRA ディープ×アメリカ型の血。
早期始動のセオリーみたいな配合馬やね。中山も問題なさそう。
みっちゃん うん。じゃあYちゃんは?
YRA まずはアスクワイルドモア。
JRA全G1制覇王手の武豊でキズナ産駒。
これは勝ったらドラマになるよね。
みっちゃん そうだけど、札幌2歳Sで負けすぎな感が。
勝ったジオグリフは朝日杯FSで案外だったし。
YRA そこは否定しません。
でもジオグリフよりもこっちの方が、舞台変わりがプラスになるじゃろうけんワンチャンあっても良いんじゃないって思うんよ。
みっちゃん まぁ豊さんの完全制覇は俺も見たい!
YRA うん!次はサトノヘリオス。
エピファネイアで無敗馬。サンデーのクロスがちょっとキツいけど、ここまで見る限りは気性の悪さはなさそう。
みっちゃん 中一週でG1ってのがどうなんかなって思うけど。
YRA まぁね。じゃけん本命にはせんかった。
ということで本命はコマンドライン。
デビュー前から血統注目馬として取り上げて記事にもしたくらい血統がクラシック向きで、全兄アルジャンナもクラシックに出たけど、こっちの方が仕上がりは早い。
ここも勝ってルメールと来年のクラシックに主役として出てくることを期待したい。
みっちゃん ディープインパクトの大物候補か(・∀・)
YRA うん。
だいたい悩ましいG1ほど、結局はルメールなんよ(笑)
みっちゃん 今年もリーディングジョッキー。
最後もこの人で締めるってことか(・∀・)
YRA そういうこと(^_^)v
ホープフルステークス
わし◎コマンドライン
みっちゃん◎ジャスティンパレス
2021.12.28 post